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2021.03.12

働き方改革で労働時間はどう変わる?変更点を詳しく紹介

2019年の『働き方改革』が施行されてからもう少しで2年が経過しようとしています。

コロナ禍ということもあり、急速に働き方は変わっていて、数年前とは比べ物にならないくらい凄まじい変化を遂げています。

労働環境の問題や、少子高齢化社会など、日本の経済が直面している問題はたくさんありますが、特に皆さんが気にしているのは『労働時間』に関する問題なのではないでしょうか。

「労働時間が長いから正社員として働けない」であったり、「残業代が長くて家のことをする時間がない」など、労働時間によって起こる悩みはとても多いです。

この記事では、働き方改革の中でも特に労働時間に関する法改正や問題について、詳しく説明していきます。

そもそも働き方改革ってなに?

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働き方改革が、現在の日本人の労働時間にどう影響しているのかをご紹介する前に、まずは働き方改革がなんなのか、簡単におさらいしておきましょう。

2019年に働き方改革関連法案が施行され、大企業はもちろん、最近では中小企業が改革へ向けて舵を切っている状況です。

具体的になにをしているのかというと、『働く人々がここの事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするため』の改革で、『一億人総活躍社会実現に向けた改革』とも言われています。

  • 労働者を増やすこと
  • 出生率をあげること
  • 生産性を上げること

主にこの三点に重きを置いて、さまざまな施策を打ち出しています。これらの目的が達成されれば、日本の経済はとても素晴らしいものになるに違いありません。

働き方改革によって改正された点

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実際に、働き方改革によって労働時間等にどのような変化があったのか確認していきます。

36協定の改正

会社に勤めていた経験があれば、一度は耳にしたことがある『36(さぶろく)協定』という契約。

これは、下記で詳しく説明する、時間外労働をする必要がある場合に必要な契約になります。この協定を企業と労働者の間で結び、労働基準監督署へ提出しない限りは、労働者は時間外労働は行えません。もし行った場合は労働基準法の違反ということで、企業に罰則が課せられてしまします。

法改正前の36協定には、改正後と同じように労働時間に規制はあったものの、例外や特別な事情があればいくらでも残業ができてしまうようなものでした。

しかし、今回の働き方改革の法改正によって、改正前のいわゆる『抜け道』がなくなり、上限規制が法律となりました。

具体的な労働時間規制については下の表にまとめました。

原則

特別な場合

旧36協定

  • 月45時間まで
  • 年360時間まで

上限なし

新36協定

  • 月45時間まで
  • 年360時間まで
  • 年720時間
  • 月100時間未満

これに違反すると、企業側に6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が課せられる場合があると決められました。

さらに、この特別な場合の時間外労働をする際は、労働者の健康・福祉の確保をすることも定められました。

  • 医師による面接指導
  • 深夜業の回数制限
  • 勤務間インターバル
  • 代償休日・特別な休暇の付与
  • 健康診断の実施
  • 連続休暇の取得
  • 心とからだの相談窓口の設置
  • 適当な配置転換
  • 産業医による助言や指導
  • その他

これらの中から一つ以上選択し、労働者に提供しなければ特別な時間外労働をすることができないため、働きすぎによる体調不良や、最悪のケースの過労死などを防止できます。

時間外労働時間の上限規定

働き方改革の目的の一つに「長時間労働の是正」があります。

労働時間については、以前から原則として上限が決められていましたが、時間外労働については厚生労働大臣の告示によって規制が設けられていました。

これは1日約2時間の残業に置き換える事ができますが、これを超えたところで特に罰則等はなく、企業が行政による指導を受けるのみとなっていました。

しかし、働き方改革関連法案の施行に伴い、時間外労働の上限規制が設けられました。

  • 原則として時間外労働は月に45時間、一年で360時間までとする。
  • 特別な事情がない限り、上限を超えてはならない

これに関しては変わりはないのですが、

  • 特別な事情がある場合でも最大で月100時間未満、一年で720時間未満まで
  • 月45時間を超える時間外労働が許されるのは年間で6ヶ月まで
  • 上限を超えた場合、企業に6ヶ月以下の懲役、または30万円の罰金が課せられる場合がある

上記の規定が新たに加わりました。そのため、繁忙期や会社都合など、特別な事情があっても上限が決められ、しかも罰則までついているので必ず順守するよう企業に求められています。

時間外労働(残業)とは?

上記の説明で出てきた時間外労働。世間的には「残業」と呼ばれていますが、この残業について少し深掘りしていきましょう。

皆さんもご存知かと思いますが残業とは「標準の労働時間を超えて仕事をすること」ですよね。

1日8時間、1週間で40時間。これが現在の日本の労働基準法で定められている標準労働時間です。

これに月45時間まで、通常であれば時間外労働をする事が可能になりますが、標準労働時間を超えたものに対しては、別途賃金を払うことが義務付けられています。これを「残業代」と皆さん呼びますよね。

時間外労働は、厳密にいうと「法内残業」と「法外残業」の二種類に分られます。

法内残業とは会社が決めた所定労働時間を超えているものの、法定労働時間の範囲内の残業のことを指します。

法外残業とは1日8時間、1週間40時間の標準労働時間を超えて行われた残業のことを指します。

時間外労働の上限の規定で使われるのは、法外残業の数字です。

中小企業における月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金の見直し

こちらの施策は、2020年4月より、中小企業に向けて出されたものです。

内容は、元々は月に60時間を超える時間外労働をした場合、50%の割増賃金の支払いが義務化されていましたが、中小企業においてはこれが猶予され、60時間を超えた分も通常の時間外労働と同じ25%に据え置きされていました。しかし、この猶予が廃止され、中小企業でも割増賃金が50%以上になるという制度です。

中小企業の定義は以下の表にまとめたのでご覧ください。

業種

資本金

従業員数

小売業

5,000万円以下

50人以下

サービス業

5,000万円以下

100人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

その他

3億円以下

300人以下

従業員数や資本金など、大企業に比べて余裕のない中小企業に向けての救済措置として猶予がありましたが、それが改正されたのが今回の法改正です。

例外となる職種

今回の法改正では「建設事業者」、「自動車運転の業務」、「医師」など、時間外労働の上限規定から除外されている職種もあります。

基本的には2024年まで期間が猶予されていますが、2024年以降も業種にあった取扱があるので、まとめて紹介します。

業種

2024年以降

建設業

  • 災害の復興事業は上限規定から除く
  • 災害の復興事業については時間外・休日労働の月100時間未満の規定や2〜6ヶ月の平均80時間以内の特別な場合の措置も適用されない

自動車運転業

  • 特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限は年間960時間
  • 時間外・休日労働の月100時間未満の規定や2〜6ヶ月の平均80時間以内の特別な場合の措置も適用されない
  • 時間外労働は月に45時間を超える事ができるのは6ヶ月まで。という規定も適用されない

医師

  • 具体的な上限時間はまだ決定していない

年次有給休暇取得の義務化

有給休暇とは勤務時間、勤務年数において一定の有給休暇が与えられるという法律で、労働基準法により定められています。

企業側は該当する日数分の休暇を労働者に与えはするものの、実際に使用するかしないかは労働者の判断に委ねていました。

繁忙期で企業自体が忙しい時期だったり、自分の仕事が多く休みにくい空気であったり、なかなか有給休暇を取得しにくくなっているのが現状です。

これに対する対策として、年に10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、5日は最低取得しければならないという事が義務付けられました。

フレックスタイム制の見直し

フレックスタイム制とは、改正前のルールだと、1ヶ月の期間であらかじめ決められた労働時間の範囲内で、労働者が始業時間と就業時間を自由に決められるという制度です。

このフレックスタイム制度が、法改正により清算期間が1ヶ月から3ヶ月に延長されました。それにより、さらに自由度が高くなり、自分でシフトを組むことにより、その日その日の労働時間を自分で決めることが可能になりました。

『高度プロフェッショナル制度』の導入

この制度は、高度な専門知識を持ち、専門的な職種に就き、年収が一定の額を超えている労働者に対して、労働基準法の規定に縛られない自由な働き方を認める制度で、全労働者が該当するわけではありません。

しかも、自由とはいえ、年間で104日以上かつ、月に4日以上の休日の確保や、健康管理の状況に応じた健康・福祉確保措置が義務付けられています。

労働時間の客観的な把握

会社の全ての従業員を対象に、労働の状況を客観的に把握することを義務付けました。

企業ごとに各従業員がどれくらいの時間労働しているのかを客観的に把握できるように体制を整えることによって、クリーンな働き方がさらに求められることになり、仮に違反していたりする場合には速やかに指導が行えたり、場合によっては罰則が課されたりと、管理が強くなりました。

正規雇用と非正規雇用の格差是正

日本の労働者の中で4割を占めると言われている非正規労働者は、時給に換算した時の賃金が、正規労働者に比べて6割ほどだと言われています。

賃金にこれだけの差があるのにもかかわらず、非正規労働者が多いのには、労働時間に問題があります。

家事や育児、介護などを仕事と両立する労働者は、拘束時間の縛りなどから、正規雇用(正社員)を選ばない傾向にあります。

そこで、格差を是正し正規雇用と非正規雇用に関して、同じ労働をした場合は同一の賃金を支払うことを義務とすることで、非正規雇用の方でも気持ちよく仕事ができるようになりました。

時間外労働の上限規制の課題

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時間外労働の上限規制がされたことにより、メリットもたくさんありますが課題もいくつか挙げられますので、紹介していきます。

管理職の負担が増える

従業員の残業がなくなることで、単純に勤務時間がいつもよりも短くなります。仕事のタスク量が変わらなかった場合、生産性をあげなければ時間内に仕事を終わらせることができなくなってしまいますよね。

その場合、高度プロフェッショナル制度によって規制が通常の労働者よりも軽く設定されている上司や管理職級の方の仕事量が増えてしまいます。

ただ時間を減らすだけでは限界が来てしまいますので、労働者を増員させるか、生産性をあげる対策を打たなくてはなりません。

残業代カットによるモチベーション低下

企業によっては、基本給が少なく設定されていて、残業代も含んだ給料で成り立たせている労働者も少なくありませんでした。

しかし、今回の法改正によって時間外労働に規制がかかり、長時間の残業が困難になることによって以前に比べ貰える給料が減ってしまう労働者が多くいるのが現状です。

これではモチベーションが上がらず、仕事の生産性も上がらないという悪循環に陥ってしまいますので、企業側は対策が必要です。

例えば基本給を高く設定し直したり、残業代の分をインセンティブやボーナスに上乗せしたりと、長く働けばその分お金がもらえる、という概念を変える必要があります。

離職のリスク

残業がなくなったことにより仕事が終わらず、持ち帰って結局家でも仕事に追われたり、もちろんそれに報酬は支払われないともなれば以前に比べて環境は悪くなり、労働者の離職のリスクが高まります。

さらに、労働人口が減り、仕事量は変わらない場合、残された管理職や企業の方の負担は増え、負のループが続いてしまいます。

解決策としては、前述した通り、生産性の向上がマストになります。

まとめ

働き方改革で労働時間がどう変わるのか、変更点を中心にご紹介しましたが、参考になりましたか?

労働時間は長ければいい、偉いというのは正反対で、短い時間でいい成果を出す方が何十倍も偉いですしかっこいいものです。

これは綺麗事ではなく、実際にご紹介したように、ただ時間を短くしただけでは仕事が終わらず、他の人の負担が増えたり、給料が減ったりと、成果を出せなければマイナスな面しかありません。

個人の生産性をあげることが会社の成果になり、それが結果として日本の経済を支えることになります。

最近では、サテライトオフィスの設置やワーケーションの導入によって従業員に新しい選択肢を与えるという働き方改革も注目されています。

働き方改革にお悩みの方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。

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