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2021.03.04

働き方改革法案施行の目的とは?具体的な内容を詳しく解説

皆さんは、『働き方改革関連法』という言葉をご存知ですか?

現代の日本は、労働環境の問題や、少子高齢化社会など、問題が山積みです。外国人から見た日本人像として、『日本人は勤勉でよく働くね!』なんていう言葉を耳にすることは多いですよね。

そんな日本の数ある課題を解決するべくして、今政府が企業、国民に働きかけているのが働き方改革です。働き方改革関連法案とは、メディアなどでよく耳にする働き方改革の法律の正式名称です。

この記事では、働き方改革関連法案の内容について深掘りして説明していきます。この法律についてまだあまり把握していないという方は、ぜひ参考にしてみてください。

働き方改革関連法案とは?

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皆さんがよく口にする働き方改革と、働き方改革関連法案、一体何が違うのでしょうか?

答えは『同じ』です。

少々ややこしいですが、働く人々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するため、さまざまな施策を打ち出しているのですが、そのことを働き方改革と呼びます。

その働き方改革は、働き方改革関連法という8つの法律の改正を行うための法律のことを指し、正式名称は『働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律』といいます。

働き方改革って何するの?内容は?

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働き方改革の内容を一言で説明すると、1億人総活躍社会の実現です。働く人々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するための施策、法律を働き方改革と言います。

家事や育児でなかなか仕事に費やす時間が作れなかった主婦の方、体力の問題で長時間労働することができない高齢者、さまざまな理由により、就労に対する壁が多かったのが今までの日本の現状です。

そんな現状を改革し、今まで仕事がしたくてもできなかった方々が活躍する場所を作ることによって、労働人口が増え、さらに生産性が上がれば明るい未来が待っています!

1億人総活躍社会の実現に向けて、働き方改革関連法案が出されました。その働き方改革関連法案とは、日本の労働8法の法改正のことです。

以下に並べた8つの法律がそれぞれどんな法律なのか、簡単に1つずつ説明していきます。

8つの労働法

  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法
  • じん肺法
  • 雇用対策法
  • 労働契約法
  • 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
  • 労働者派遣事業の適正な運営の確保および派遣労働者の保護等に関する法律

労働基準法

労働基準法は、労働者の生存権の保障を目的として、労働契約や賃金、労働時間、休日および年次有給休暇、災害補償、就業規則といった労働者の労働条件についての最低基準を定めた法律です。使用者は、仮に労働者との間に合意があっても、労働基準法で明記されている内容を下回る労働契約を締結することは認められていません。

仕事の休憩時間の会話中などによく「これをやると労働基準法に引っかかる」であったり「この労働時間は労基的にアウトだね」と話されているときに出てくる法律が労働基準法です。働き方改革でも肝になる法律の一つとなっています。

労働安全衛生法

労働安全衛生法とは、労働基準法と相まって、労働災害防止のための危害防止基準を確立するための法律です。労働者の安全と健康を守るとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています。 

過労死や、労働災害を防ぐためにとても大切な法律のことです。

労働時間等の設定の改善に関する特別措置法

労働時間等の設定の改善に関する特別措置法とは、労働者が能力を有効に発揮し、労働者の健康で充実した生活の実現と経済の発展を目的に、企業に労働時間等の設定の改善を求める法律です。

この法律の前身は「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」といって平成4年に制定されたものです。

労働者全体の平均値で年間総実労働時間を1,800時間まで短縮させることを目標に、完全週休2日制の普及促進などの取り組みをするための法律でしたが、結果として年間総実労働時間を1,800時間程度に短縮され他のは短時間労働者の比率の上昇によるもので、正社員の年間総実労働時間は2,000時間を超えている状況でした。

じん肺法

じん肺法とは、じん肺に関して、適正な予防及び健康管理その他必要な措置を講ずることにより、労働者の健康の保持その他福祉の増進に寄与することを目的とした法律です。

雇用対策法

雇用政策の基本法となる法律です。 国が雇用に関して、その政策全般にわたり必要な施策を総合的に講じることにより労働力需給の質と量の両方にわたる均衡を促進し、労働者の持っている能力の有効的な発揮に資することを目的とした法律です。

労働契約法

労働契約が労働者と使用者の合意によって締結・変更されることで、両者の良好な関係を目指す法律です。ここで言う労働者とは、使用者に使用されて賃金を支払われ、労働する人のことを指します。

短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律

少子高齢化が急速に進み、就業に関するさまざまな変化等の社会経済情勢の変化に伴って、短時間労働者の果たす役割の重要性が増大していることに鑑み、短時間労働者について、その適正な労働条件の確保、雇用管理の改善、通常の労働者への転換の推進、職業能力の開発及び向上等に関する措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図ることを通じて短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もってその福祉の増進を図り、経済及び社会の発展に寄与することを目的とするための法律です。

パートタイム労働者の主婦の方にとって働きやすい環境作りには欠かせない法律です。

労働者派遣事業の適正な運営の確保および派遣労働者の保護等に関する法律

労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の保護等を図り、派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的とする法律です。

働き方改革を支える3本の柱

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上記に挙げたこれらの法律を改正し、以下にあげる3本の柱を中心にアクションを起こし、限られた労働人口の中で生産性を上げ、経済の成長を促すのが働き方改革ということになります。

次に、3本の柱を中心にどのような改正が行われたのか、説明していきます。

第1の柱『働き方改革の総合的かつ継続的な推進』

まず第1の柱『働き方改革の総合的かつ継続的な推進』とは上記で説明した「雇用対策法」です。この雇用対策法を改正し、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」という法律になりました。

労働者の多様な事情に応じた雇用の安定及び職業生活の充実、労働生産性の向上を促進し、労働者が持つ能力を有効に発揮することができるよう、その職業の安定を図ること。

上記がこの法律の新たな目的とされています。また、その目的を達成するために国が、労働者がその有する能力を発揮できるようにするために必要な労働施策の総合的な推進に関する基本方針(閣議決定)を定めることなどが制定されました。

第2の柱『長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等』

次に第2の柱『長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等』に関しては、上記で説明した「労働基準法」と、「労働安全衛生法」、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」の3つの法改正です。

この3つの法改正はおおきく分けて3つの改正が行われました。

  • 労働時間に関する制度の見直し(労働基準法、労働安全法の改正)
  • 勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の改正)
  • 産業医・産業保護機能の強化(労働安全衛生法の改正)

さらに細分化して詳しく説明していきます。

労働時間に関する制度の見直し

  • 時間外労働の上限規制の導入
  • 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し
  • 年次有給休暇の取得の義務
  • 労働時間の状況の客観的な把握

具体的な改正は以下の表にまとめました。


時間外労働の上限規制の導入

原則として時間外労働は月に45時間、年で360時間までとします。特別な事情がない限り、上限を超えてはいけません。

これに違反すると6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が課せられる場合があります。


中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し

月60時間以上の時間外労働に対して50%の割増賃金を支払うことに関して、中小企業に対する割増賃金の引き上げが猶予され、60時間を超える分も25%以上に据え置きをされていましたが、この猶予が廃止され、2023年4月からは中小企業でも割増賃金が50%以上になります。


年次有給休暇の取得の義務

年間10日以上の有給休暇がある労働者に対して年間5日以上の有給休暇を取得させることが義務となります。

これに違反すると、30万円以下の罰金が課される可能性があります。

労働時間の状況の客観的な把握

働きすぎを防ぐことを目的として、会社の全ての従業員の労働の状況をタイムカードによる記録や、電子計算機等を使って客観的に把握することが義務付けられました。

多様で柔軟な働き方の実現

  • フレックスタイム制の清算期間の見直し
  • 高度プロフェッショナル制度の導入

具体的な改正は以下にまとめました。

フレックスタイム制の清算期間の見直し

勤務時間に変更はなく、始業と終業の時間を1ヶ月の中で調整できる制度ですが、その期間が1ヶ月から3ヶ月に延長されました。




高度プロフェッショナル 制度の導入

柔軟な働き方を可能にすることを目的に、高度な専門知識を持ち、専門的な職務に就き年収が一定以上の労働者に対して、労働基準法の規定に縛られない自由な働き方を認める制度です。

しかし、年間104日以上かつ、月に4日以上の休日の確保や、健康管理の状況に応じた健康・福祉確保措置が義務付けられています。

第3の柱『雇用形態に関わらない公正な待遇の確保』

最後に、第3の柱『雇用形態に関わらない公正な待遇の確保』に関しては、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」、「労働契約法」と、「労働者派遣事業の適正な運営の確保および派遣労働者の保護等に関する法律」に関する法改正です。

同一の企業や会社に勤めている正規雇用労働者(俗にいう正社員)と、非正規雇用者(俗にいうアルバイト、パート、派遣スタッフ等)の間の不合理な待遇を是正するために、以下に挙げる3つの法改正が行われました。

  • 不合理な待遇差を解消するための規定の整備(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律、労働契約法の改正)
  • 労働者に対する待遇に関する説明の義務化(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律、労働契約法の改正)
  • 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争手続(行政ADR)の規定の整備(労働者派遣事業の適正な運営の確保および派遣労働者の保護等に関する法律の改正)

不合理な待遇差を解消するための規定の整備

同一企業内の正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与を始めとするあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されました。そして、改正法により禁止される不合理な待遇差か否かを判断するにあたっては、業務の内容、業務に伴う責任の程度、職務の内容及び配置の変更その他の事情が考慮されることとなります。

労働者に対する待遇に関する説明の義務化

短時間・有期雇用労働者から求めがあった場合には、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明をしなければならないことが義務となります。

行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争手続(行政ADR)の規定の整備

上記の2つの改正に伴って、厚生労働大臣から事業主や企業に対して報告や助言、指導、勧告をすることができるとされていて、これに関する紛争が起きた場合、行政ADRと言って労働者と事業主が紛争になった場合に裁判以外で解決する手続きを行えることになりました。

まとめ

働き方改革法案について、呼称から正式名称まで、そして法の改正や内容について説明しましたが、参考になりましたか?

働き方改革といっても、具体例を挙げるとかなり内容の濃いものになりますよ。

しかし、元を辿ると「みんなが気持ちよく働ける環境づくり」であったり、「生産性をあげよう」といったはっきりとした目的があります。

現在進行形で進んでいる働き方改革。数年後の日本の未来は私たちにかかっています。これを機に、働き方改革について今よりももう少し踏み込んでチャレンジしてみてください。

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