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2021.11.30

ワーケーション体制を企業へ導入する6つのメリットと2つの注意点を徹底解説

コロナの爆発的な感染を受け、日本政府は不要不急の外出の自粛を求めたり、働き方においては通勤時における過度な混雑を避ける観点から在宅勤務を推奨したりと目まぐるしい変化が起きました。

新たな働き方として定着しつつある在宅勤務ですが、新たなワークスタイルとしての潮流も生まれており、そのひとつが”ワーケーション”です。在宅勤務制度が盛り上がりを見せる中で、働く場所を社員の自宅に限定せず、むしろ、”休暇を兼ねることを目的として休暇地で働いてもらう方法”として、自社へワーケーションの導入を行っている企業が大手企業を中心に増えつつあります。

ワーケーションを導入する企業の動きに対応するように、この環境を提供する日本各地の地域の自治体も活発に事業を展開しており、2019年11月には”リモートワークを利用して、オフィスや自宅から離れた観光地や温泉などで休暇を楽しみつつ仕事や地域活動を行うワーケーションを全国的に普及させること”を目的として、1道6県、58市町村の自治体連合によって”ワーケーション自治体協議会”が発足してもいます(2021年10月時点では1道22県、177市町村に拡大)。

このように、日本全体でのテレワーク・在宅勤務、ワーケーションといった新たな働き方に向けた潮流が生じているわけですが、これを企業に導入するメリットはどのような点にあるのでしょうか?また、ワーケーションを企業導入するにあたって注意すべきことはないのでしょうか?

今回の記事では、この2点に着目して企業とワーケーションの関係を見ていこうと思います。ぜひ最後までご覧ください。

ワーケーションを企業導入するメリット

ワーケーション 企業 メリット

冒頭にて少し説明しましたが、ワーケーションとは、通信技術等を駆使して職場以外の場所で働く”テレワーク”という働き方の中でも特に、休暇を兼ねることを目的として観光地等の場所で仕事を行う働き方のことを意味しています。

ワーケーションという言葉も、このような意味合いから作られた造語であり、仕事・働くことの意味である「Work(ワーク)」と休暇の意味である「Vacation(バケーション)」が組み合わされたものです。

このようなワーケーション、大手企業を中心に導入する企業が増えつつあるとお伝えしましたが、導入する企業にとってはどのようなメリットがあるのでしょうか?

主なワーケーション導入による企業のメリットには以下のものが挙げられます。

  • 従業員のワークライフバランス(クオリティオブライフ)の向上につながる
  • 従業員の福利厚生の充実につながる
  • 従来の働き方では得られなかった経験を従業員に提供できる
  • 新たな働き方に関して寛容であることを外部にアピールできる
  • 社会貢献につながる
  • コスト構造の改善を図れる

それぞれに関して詳しく見ていきましょう。

従業員のワークライフバランス(クオリティオブライフ)の向上につながる

ワーケーションは仕事を行うだけでなく、休暇地での休暇を組み合わせた働き方であるため、企業は従業員がリフレッシュするための機会を十分に提供することができます。このような形で働くことはワークライフバランスを向上させることにつながり、従業員それぞれのモチベーションアップも期待できます。

従業員の福利厚生の充実につながる

働きながら休暇をとれるという仕組みであるため、福利厚生の向上のひとつとして従業員にとっては長期休暇を申請しやすくなるなどの利点があり、これによって従業員のエンゲージメントやモチベーションを向上させ、離職率を抑えることにつながっていくことが期待できます。

また、長期の旅行を計画しやすくなるため、有休休暇の取得が促進されるとともに、休暇シーズンのみに休暇申請が集中してしまう状況を是正することにも期待できます。

福利厚生の向上は従業員の会社に対する満足度の向上や、愛着の高まりを誘起し、従業員全体の業務練度の向上、ひいては会社の経営向上にもつながっていくと考えられます。

従来の働き方では得られなかった経験を従業員に提供できる

従来の働き方では、仕事のオンとオフ、つまりは仕事とプライベートの時間が分離された状態にありました。そのような状態にあったにも関わらず、業務時間外に仕事関係の連絡が飛んできて対応しなければならない業務が発生した、ということを経験された方は多いのではないでしょうか?

ワーケーションを選択すれば従業員がプライベートに合わせた働き方を選択できるようになります。従来型の働き方とは異なる、仕事とプライベートの線引きによって、これらの境界線が曖昧となり、(それに合わせた働き方の制度も必要だが)、仕事とプライベートの両方を重視できる働き方となることで、従業員はこれまでに経験できなかった充実したプライベートの時間を創出できるようになると考えられます。

新たな働き方に関して寛容であることを外部にアピールできる

企業の福利厚生に紐づくものですが、ワーケーションの導入を行い新たな働き方に対して寛容である企業姿勢を外部にアピールできるようになると、これが結果的に企業が必要とする新たな人材の確保を有利に進めることになるといえます。

働き方のひとつとして、ジョブ型の働き方も注目を集めるようになり、1つの企業にのみ属する働き方から変化を遂げていく可能性も考えられますが、そのような状況であっても、企業に愛着を持ち、従業員とは異なった形で企業に貢献し続けようとする人が現れる可能性もあります。

社会貢献につながる

新型コロナウイルスの感染拡大によって打撃を受けた観光地の景気の落ち込みは著しいものであり、(2021年10月時点で全面的な規制緩和があるものの)この状況を打破するための解決の糸口としてワーケーションは社会的に求められている働き方として認識されつつあります。

ワーケーション利用者が観光地をはじめとした、日本各地の地域に足を運び、そこで消費活動を行うことによって宿泊業や観光業、商業を起点にして地域の経済が再び活性化する可能性に期待が集まっているのです。

コスト構造の改善を図れる

従業員が会社以外の場所で働くようになることで、フリーアドレスを進めることができ、オフィスの省スペース化が図られるようになります。

これ以外にも、従業員のオフィスへの通勤がなくなるため交通費手当を削減できるようになり、削減された経費の一部をワーケーションのための手当に還元することもでき、従業員満足度の向上を図ることができます。

ワーケーション導入の注意点

ワーケーション 企業 メリット

上記に紹介したように、ワーケーションを企業導入することによるメリットはさまざまあり、それぞれが企業に勤める従業員やワーケーション環境を提供する地域にも還元される関係にあり効果は大きいです。

一方で、ワーケーションを企業導入するにあたり事前に検討して頂きたい注意点もあります。それら注意点は以下に示したものが挙げられます。

  • 生産性が落ちる可能性もある
  • 仕事とプライベートの管理がうまくいかずメリハリをつけられないようになる

それぞれを見ていきましょう。

生産性が落ちる可能性もある

テレワークをはじめとした”職場以外の場所で”働くという働き方が長期化すると、返って生産性を落としてしまう可能性があります。ZoomやSkypeをはじめとした、ビデオ会議等に対応した技術がありはするものの、オンラインを介したコミュニケーションのノウハウを従業員皆が熟知している状態にあるとは言い難く、それぞれの担当できる業務が狭まっていく傾向があるためです。

インターネットを介した業務のみでは仕事を完結しにくい業種の企業ほど、テレワークやワーケーション導入による生産性の低下が懸念されるといえます。

仕事とプライベートの管理がうまくいかずメリハリをつけられないようになる

新たな働き方のメリットとして、仕事とプライベートの境界が曖昧となり、従業員が従来の働き方では経験することのできなかった時間の使い方を提供できるとお伝えしましたが、従業員の特性によってはこれがデメリットに働いてしまう可能性も十分に考えられます。

ワーケーションは他の働き方と比較して自由度の高いものであるため、従業員によっては、業務時間中であるものの観光に気が向いてしまったり、業務時間外にも関わらず仕事を続けてしまったりと、結局のところ仕事とプライベートのメリハリをつけられずに時間を使ってしまう可能性もあります。

ワーケーション導入の課題に対する対策

ワーケーション 企業 メリット

メリットがあると同時に懸念されるワーケーションの課題も見えてきた頃かと思いますが、では従業員に快適なワーケーション制度を提供するためには、どのような取り組みに気を付ければいいのでしょうか?

ここではワーケーションの課題・懸念点等を解決・小さくするための対策に関してご説明していこうと思います。こちらの記事では以下の3点を対策方法としてご紹介しようと思います。

  • 対象者・対象時期などのルールづくり
  • 就業規則の作成と従業員への徹底
  • 管理・監督方法の見直しや改善

それぞれを詳しく見ていきましょう。

対象者・対象時期などのルールづくり

企業はさまざまな担当部署から構成されており、その中には業務の関係上、どうしても現場を離れることのできない従業員もいるかと思います。ワーケーションを導入するのはいいものの、このような人たちが有効に活用することができず不公平感を感じてしまっては意味がありません。

このような観点からワーケーションを導入する際には、社内での不公平感が生まれないようなワーケーション活用に関するルール作りを行うとともに、従業員への理解や待遇改善などの平等性の確保を大切にすることが求められるといえます。

就業規則の作成と従業員への徹底

ワーケーションは仕事と休暇を同時に兼ねる働き方であるため、デメリットに取り上げたように適切な時間利用を実現できない従業員が一定数現れる可能性は十分に考えられます。

このような際にワーケーション利用中における就業規則を企業側が定めることによって、従業員が一定の枠組み(規則)の中で有効に時間を活用できるようになります。

また、労働時間をどのように報告・確認するのか、ワーケーション期間中の労働時間、ワーケーションを利用した期間中に発生した費用の負担割合等に関しても事前に決めておく必要があります。

また、上記にあげたルールや就業規則等を企業全体で正しく運用できるように従業員を対象とした説明会などを社内で開催するようにし、全従業員への周知と理解に努めることも重要となります。

管理・監督方法の見直しや改善

仕事と休暇の関係がきちんと隔たれている働き方ではありませんので、労働時間をはじめ、成果の管理や監督方法等に関する内容を明確にしておく必要があります。

テレワークを利用した働き方のすべてに共通することですが、直接のコミュニケーションを図れない、自分の目の届く範囲で仕事がされていない、という状態は出勤時間や労働時間の確認の曖昧さを生みだし、業務成果に偏るような適切な評価が行われないようになってしまいかねません。

従業員の業務に対するモチベーションをワーケーション中にあったとしても高く維持するためにも、出退勤を正確に管理し従業員すべてを平等に評価できる仕組みが必要だといえます。

まとめ

ワーケーション 企業 メリット

企業にワーケーション制度を導入するにあたってのメリット、注意点、課題を解決するための対処法に関してご説明してきましたが、いかがだったでしょうか?

ワーケーションの導入によって、従業員の業務に対するモチベーションを向上させることが期待できますが、”新たな働き方へと改革する”ということは、従来の業務方法で活用してきた方法のすべてを見直す必要が出てもくるのです。

この見直しを十分に行わないままに、単にワーケーション制度を導入してしまうと従業員間でのトラブルを起こす原因にもなりかねませんので、ぜひとも十分な検討を行っていただければと思います。

また、今回の記事では触れませんでしたが、”職場以外の場所で働く”ということは企業情報が外部へと流出するリスクが高まるということを意味してもおり、セキュリティの面においては更に厳重な対策が必要となります。

これらの内容に関しては総務省が発行している『テレワークセキュリティガイドライン(第5版)』にて詳しく説明されていますので、こちらにもぜひ目を通してみてもらえますと幸いです。

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