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2021.03.11

ワーケーションのデメリットとは?推奨される3つの理由と誤解を紹介

ワーケーションはリゾート地や地方を旅行しながら仕事をする新しい働き方で、もともとアメリカで2000年頃に始まりました。2010年前後にデジタルノマドが取り入れ始め、日本では2015年前後に輸入されてきた新しい働き方の概念です。

日本で最初にワーケーションが話題となったきっかけは、有名航空会社がテレワークを推進し、働き方改革を進めることを目的として、新たな働き方としてワーケーションなどに取り組むと発表したことです。

その後、一般の企業にまで広く浸透することはありませんでしたが、新型コロナウイルス感染拡大による在宅勤務の広がりで、2020年7月27日に観光戦略実行推進会議にて、当時の菅官房長官がワーケーションという言葉を発したことで再び話題となりました。

しかし、一般にはワーケーションという言葉自体があまり知られていなかったためネット上では、コロナ禍で難しいカタカナがまたひとつ増えた、菅さんが作った造語といった間違った解釈をしてしまった方もいました。

さらに、SNSなどでは、ワーケーションによって労働時間が増えるという批判的な意見も見られます。このような意見はワーケーションを実践するうえで非常に重要な視点といえますし、日本でワーケーションが広まることを考えるうえでも大切なことです。

そこで本記事では、ワーケーションに興味がある方のために、ワーケーションのデメリットとワーケーションが推奨される3つの理由、そしてワーケーションの3つの誤解をご紹介します。

ワーケーションのデメリットとは

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コロナ禍で再び注目を集めたワーケーションという働き方ですが、自宅で仕事を行うリモートワークとは違い、自然豊かな中で仕事をすることで生産性が上がり、今まで思いつかなかった新しいアイデアを思いついたりする可能性が広がります。家族がいる方は、子どもと過ごす時間が増えるなど、さまざまなメリットがあります。

このようにメリットがたくさんあるように見えるワーケーションですが、ワーケーションを取り入れる際、実は社員にも企業にもいくつかのデメリットが出てきます。

ここでは、ワーケーションのデメリットをご紹介します。

顧客対応に手間がかかる

ワーケーションは、長期休暇中でも仕事をすることができる魅力的な働き方ですが、顧客対応においてはデメリットも存在します。

ワーケーション中は普段とは違い、オフィスに出勤して仕事をする必要がありません。そのため、担当者が不在であるがゆえに急な顧客対応が困難になり、電話などを取り次ぐ手間が発生します

さらに、社内の代表電話を使用して社外に電話をかけたい場合なども対処できないという難点もあるため、ワーケーションではそうした基本的なビジネスフォンの機能を使用できないのは大きなデメリットです。特に部署が営業の方など、社内外と頻繁に連絡を取る必要のある方は、業務に支障をきたしてしまう可能性があります。

このような事態を避けるためには、ワーケーションの導入前にスムーズに顧客対応ができるような体制を整えておく必要があります。

セキュリティ面に注意が必要

ワーケーションを実施している期間は、顧客情報や資料などを社外でチェックすることが多くなりますので、セキュリティ面にしっかりと配慮する必要があります。

以下は主なセキュリティの注意点です。

  • パソコンやタブレットの盗難、紛失
  • 信頼性の低い無料Wi-Fiに接続して情報漏洩

宿泊先のWi-Fiが脆弱なセキュリティ環境だった場合、社内の機密情報が漏れてしまう恐れがあるため注意しなければいけません。そのため、資料にパスワードをつける、通信環境のセキュリティチェックができるツールを準備するなどの対策をしておきましょう

また、ワーケーション中はセキュリティリスクの高い業務は行わず、業務を絞って仕事をするなどの対応を考えることが大切です。

導入コストが発生する

ワーケーションでは、コミュニケーションや業務を遂行するためのさまざまなツールを導入するコストが増大するというデメリットがあります。

オフィスから離れて仕事をするワーケーションでは、社外や社内の人とコミュニケーションを取る回数が増えます。そのため、円滑に仕事を進めるためには新たなツールを導入する必要があり、費用が発生します。

そのほかにも以下のような費用がかかります。

  • 連絡が取りやすいように仕事用のスマートフォンを支給する
  • 情報漏洩の危険性を考えて有料のメッセージツールを使用する
  • データ共有ができるサービスに登録する

特に通信環境に関しては、旅行先で使用するパソコンやスマートフォン、タブレットの支給だけではなく、セキュリティ面の対策費用もかかってきます

ワーケーションが推奨される3つの理由

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働き方改革やコロナ禍で、リモートワークなどの今までになかった雇用形態が主流になりつつあり、時間単位の働き方を推奨し始める企業が増えてきたため、ワーケーションを導入する企業は将来増えていくと考えられています。

また、企業にとってはワーケーションができる働きやすい企業というイメージを定着させることができ、優秀な人材を集めることもできますし、社員にとっても働き方の自由度が上がるなどのさまざまな良い影響があります。

ここでは、ワーケーションが推奨される3つの理由をご紹介します。

有給休暇の取得率アップ

厚生労働省が行った平成31年就労条件総合調査によると、労働者は平均で年間18.0日間の有給休暇が与えられていますが、そのうち実際に取得しているのは9.4日で取得率は52.4%でした。

この有給休暇取得率は、世界各国の中では最低ランクとなり、世界19カ国の中では最下位という結果です。

このような結果になった背景には日本における企業文化や人手不足などの要因が挙げられます。日本では長期休暇を取得するには、その前に大きな負担がかかり、旅行先でも仕事のことを気にしたり、同僚にまで迷惑をかけてしまう可能性があるため、なかなか有給休暇を取得しにくい環境です

しかし、ワーケーションは休暇と仕事を組み合わせることで長期滞在が可能になるので、有給休暇の取得率をアップさせることができます。

ワークライフバランスの推進

ワークライフバランスとは、内閣府によると仕事と生活の調和と定義されています。日本では、労働力の低下により発生している長時間労働やプライベートとの両立問題により、結果的に生産性の低下や日本経済の低迷に繋がると指摘されていますが、それを打破するのがワーケーションなどの多様な働き方です。

ワーケーションでは日常生活を離れ、異なる場所で仕事をしながら休暇を取ることで家族とゆっくりと過ごし、絆を深めることも可能です。

さらにワーケーション先の地域の方や文化とのふれあいにより、自分の生き方を見つめ直すきっかけにもなります

関係人口の創出

ワーケーションは都市部から地方自治体への人の移動の促進、関係人口の創出に繋がります。関係人口とは、移住した定住人口でも観光に来た交流人口でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。

地方では、年々人口の減少や住民の高齢化により、地域づくりの担い手が不足する問題に直面していますが、地域によっては若者を中心として地域外の人材が地域づくりの担い手になることを期待されています。

ワーケーションは何泊以上からという定義がなく、仕事を兼ねた休暇であれば数日でもワーケーションといえますが、一般的には観光旅行よりも長期間滞在する可能性が高く、その分その地域の生活圏に触れるケースも多くなります。

上記のようなことから、ワーケーションは地域に馴染みやすく、客観的な視点から新たなアイデアを生み出し、地域を活性化することに繋がるのです。

例としては、移動、滞在手段として寝具付きのレンタルキャンピングカーと車泊スペースをセットにした九州バケワークがあります。

九州バケワークは、熊本、福岡、佐賀、長崎の4県を跨ぎ、九州広域を旅しながらリモートワークを行うプランです。コロナ禍における密を避けた自然豊かな地域への滞在時間、消費の活性化、関係人口の増加を目的とした実証実験として開始しました

バケワークパスポートを提示することで、温浴施設やコワーキングスペースの提携施設での割引サービスなど、九州各地のさまざまな施設でお得な特典を受けることができます。

気になる方はトラストパーク株式会社公式ホームページをご覧ください。

ワーケーションについての3つの誤解

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ワーケーションに関しては、否定的であったり、疑問を感じているような意見も多く耳にします。確かにワーケーションは、コロナ禍で急に出てきた言葉という印象が強いですが、一般の方々はどのような誤解をしているのでしょうか。

ここでは、ワーケーションについて一般の方々が誤解されている点を3つご紹介します。

休日まで仕事をしなければいけない

ワーケーションについての誤解で最も多いのが、休日まで仕事をしなければいけないのか、という意見ですが、これはもともとのワーケーションの意味をご存知ないためだと考えられます。

そもそもワーケーションとは、休暇が主体の働き方です。そして、休暇とは無理矢理取らされるものではなく、自分の意思で取るものです。そして、休暇とともに働く時間を自分で決めることができるのが、ワーケーションなのです。つまり、ワーケーションも通常の休暇と同様に、させられるものではなく、働き手が自ら取るものだということです。

もし自分が勤める企業がワーケーションを導入したとしても、利用したくなければしなくても良いのですし、溜まった仕事は休暇中に片付ければいいと思える方はワーケーションを利用すれば良いのです。

仕事と休暇はしっかり分けたい

旅行でまで仕事をしたくない、休むときは何も考えずに休みたいという方も多いですが、そのような方は自分が勤める企業にワーケーションが導入されても無理に利用する必要はありません。その一方で仕事と遊びの時間が曖昧でも大丈夫、自然の中で仕事をした方がいいアイデアが生まれるという方もいます。

ワーケーションはリモートワークとは違い、働き方や休み方に特別な決まりはありません。そのため、2週間長期滞在して日中は仕事をし夕方から遊びに行く、2日間のワーケーションで2時間だけリモート会議がある、1泊で旅館に滞在し資料整理の合間に温泉に入りリフレッシュするなど、多種多様なワーケーションの利用方法があります。

ワーケーションできない仕事の人は不公平

ワーケーションは実施できる仕事とできない仕事があります。例えば、銀行や飲食店、宅配業者などはワーケーションができない職種です。デジタル化が進み、働き方が多様化しても、ワーケーションができる人とできない人がいるのは不公平だという声もありますが、全ての方が実施できないのは仕方のないことです。

しかし、ワーケーションを利用できる仕事の人が、閑散期の地方に長期滞在することは、休暇の分散化にもなるうえ、需要の平準化に役立ちます。

ワーケーションを推進していくうえで大切なことは、ワーケーションができる職種の方や積極的に取り入れたい方に対して取得しやすい快適な環境を作ることです

そのため、ワーケーションが実施できない職種の方に意識を向けた議論は意味がないものだと考えられます。

まとめ

ワーケーションのデメリットと推奨される3つの理由、そしてワーケーションについての3つの誤解をご紹介しました。

休暇をとりながら働くという正反対の考え方を組み合わせたワーケーションは、長期化するコロナ禍で注目を集めています。

ワーケーションは、企業に義務付けられている社員の有給休暇の取得を促進し、企業のイメージアップにもなるうえ、社員にとっても旅行先だからこそ実現できる自由度のある働き方により、密を避けた旅行が可能となるなど、そのメリットは大きいものです。

しかし、ご紹介したように企業にとっても社員にとってもデメリットになる部分があるので、その点を解決してからワーケーションを取り入れる必要があります。

また、ワーケーションを実施できる職種に関しても当然限られてしまいますが、ワーケーションを自社で定着させるためには、他の通常業務を行っている社員に不利益が生じないよう適切に対処することが重要です。

日本は、国内の隅々までネットワークインフラが行き届いている世界でも珍しい国です。国内であればどこでもワーケーションが可能ですし、観光や地方経済、社員の心身の健康、交通など、さまざまなところに良い影響をもたらします。

ワーケーションに興味がある方は、ぜひ本記事を参考にワーケーションを取り入れてみてくださいね。

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