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イベント 2023.02.11
イベント
2023.03.10
熊本県主催、(株)MARUKU企画・運営のもと、「人的リソースで悩みを抱える企業必見! 人材マッチングイベント」が2月24日(金)に「XOSS POINT.」(くまもと森都心プラザ2階)で開催されました。
採用・組織体制づくりの知見を深めることを目的とした今回のイベント。「採用活動や組織づくり」をテーマに、人材採用活動の最前線の話から多様な働き方や組織づくりなど、地方ビジネスにおける組織の課題解決のヒントとなる話を有識者が講演。当日は全国から先着30名の参加者にお集まりいただきました。
オープニングトークでは、熊本県商工労働部 産業振興局局長の内藤美恵さんが挨拶。
「今の若い方々は、生まれた時からインターネット環境があるのが当たり前。ITを活用した産業やサービスが次々と生まれる中、熊本県でも若い方々が魅力を感じ、場所を問わない働き方ができるIT分野の企業誘致に力を入れてきました。
優秀な人材を輩出する学校が多いことから熊本に進出するIT企業が増加する一方、地元の若い人たちや育成機関と接する機会が少なく、人材確保が困難という声をお聞きしていました。そこで本日はIT企業様と人材を育成する教育機関や人材派遣会社の間で繋がる機会を設けましたので、今後の採用活動や学生の就職支援に役立てていただければ幸いです」とイベントの趣旨を語りました。
最初の基調講演では、地方の学生に向けてキャリア支援サービスを行う『株式会社Create Grow Corporation』代表取締役の谷川翔太さんが、同社のインターンシップ制度に登録している現役大学生3人とともに登壇。「若者世代のキャリアデザインについて」と題し、実際の就活状況や就活する学生たちが企業に求めるニーズなどについて紹介しました。
福岡を拠点に熊本や広島、神戸に支社を構え、創業から7期目を迎える同社。若者向け就職支援サービス「Gutto(ぐっと)」を提供し、企業の代表や人事担当者を招いて講演を行ったり、在籍する約150名のインターシップ生が提携企業に従事してスキルを磨く機会を提供したり。「こうした経験を就活で活かせるようサポートすることで、地方学生に不足する情報や体験の格差が是正され、キャリア選択が平等化されることを目指しています」と谷川さん。
「西日本注目のベンチャー100社」に選出され、経済雑誌「Forbes JAPAN」で取り上げられるなど注目を集めていますが、こうしたサービスを思いついた理由は、谷川さん自身の原体験が元となっていました。
「私は熊本の天草出身で実家が漁師。父と祖父からは漁師、母と祖母からは公務員の道を勧められ、当時はその2つしか将来の選択肢がありませんでした。しかし、スポーツの特待生として福岡の大学に進学後、長期インターシップに参加して自分を高める経験ができたおかげで、就活では東証一部上場企業から高く評価されて。そうした機会を若者たちに提供することで未来を変えるサポートができればと、この会社を立ち上げました」と創業の思いが語られました。
就活への意識が高い大学生たちと接している谷川さんによると、就職活動の新しい形としてサークル感覚でインターンシップを選択する傾向があるそう。そこには「社会で通用するスキルの向上」、「大学以外のコミュニティ作り」、「ロールモデルとなる若い社会人との接点」、「企業の雰囲気を確認して入社したい」という4つの理由があると言います。
インターンに参加する学生の10人中2人ほどがインターン先の企業に就職するというデータもあり、「どうすれば有能な学生を採用していけるか?」のヒントとして、谷川さんの会社で行っている「リファーラル採用」について紹介。
「これは口コミのようなもので、学生たちのネットワークを利用して人材を採用する手法です。優秀な学生の周りには良い後輩がいて、私たちの会社では学生1人の紹介につき約2.5人の学生がインターシップへ参加してくれています。こうした社内体制を整えていただけると、学生との間でカルチャーフィットしやすくなります」とアドバイス。
その後は谷川さんから熊本大学、熊本県立大学、熊本学園大学の3年生に在籍する学生3人に向けて、就職活動に関する質問が投げかけられました。
「友人たちがいつ頃から就職活動を始めているか?」については「意識の高い学生は3年生の5、6月頃からマイナビやリクナビへの登録やインターンシップに参加する」(熊大生)、「公務員志望が4割近くいて3年生の5月ぐらいから公務員講座を受講。民間志望だと部活やサークルを引退した3年生の12月頃から始める」(県立大生)といった回答が。
また「企業をどうやって調べているか」については、共通して「リクナビ」や「マイナビ」などの大手就職情報サイトから情報を得ていること。「どういう企業にエントリーしたいか」については三者三様の意見が出ました。
「熊本大学は歴史的に教員養成の学校だったことから安定志向の傾向があり、年収、福利厚生、ワークライフバランス、また自分の専門性が活かせるかを気にする学生が多い。私自身は、自分の成長にどれだけ投資してくれるか、成長できるかを判断材料にしています」(熊大生)
「友人たちは熊本の企業しか知らないこともあって地元に残る傾向が強く、エントリー先を絞る時点では地元企業の募集を見る人が多いです」(県立大生)
「周りの就活生は、とりあえずエントリーしてみて合同説明会に参加し、その場の雰囲気だったりワーフライフバランスがいいところだったりを意識してエントリーしています」(学園大生)
そして最後に「企業が学生側と接点機会が持つには?」という質問に対しては、こんな回答が。
「学生は就活に対して主体的ではない傾向にあるので、新歓行事や学園祭などで企業協賛をしてもらって情報を得る機会があれば、興味持つのでは」(熊大生)
「授業やゼミの中に企業と接する機会が組み込まれていると参加しやすい」(県立大生)
「サークルやボランティア活動が盛んな大学なので、SNSを活用してオファーしてもらえれば」(学園大生)
このように、学生たちが会社へ求めていること、どういう企業にエントリーするかといったニーズは大学ごとに異なることが浮き彫りとなりました。
最後に谷川さんからこんな提案も。「私たちのような会社は大手企業と比べて規模も知名度もないので、積極的にこちらから仕掛けて“攻めの採用”をしていくことが大事。大学にも学生にもこちらから積極的にアプローチしてファースト接点をつかみ、自社の魅力をしっかり紹介をしていくことを意識しています」。
講演の後は、参加者から学生へ質問タイム。「企業に求める理想の条件とは?」との問いに対して「学生が持つイメージは漠然としていて。ちゃんと休みがあるか、週休2日か、残業が多くないか」や「友達に欲しい年収を聞くと500万円は目指したいとか言うものの、インターネットの情報を参考にしている程度で、それが現実的かどうかさえ把握していません」といった率直な意見も。
「我々の会社はテレワークが9割。在宅勤務だとエントリーへの意欲が下がる?」との質問には「会社へ出勤したい気持ちがあるので選択制なら」という意見もあれば、「新型コロナ対策の影響でオンライン授業に慣れているので、授業はオンラインの方が良いという声もある。テレワークを望む人も一定数もいると思う」との意見も。
その後には交流タイムが設けられ、教育機関や人材紹介会社の皆さんと参加者の間で名刺交換。ブースごとに行列ができ、積極的な会話が交わされました。
続く基調講演では「地方採用の現状とこれから」をテーマに、沖縄を本社とする『インタラクティブ株式会社』取締役COOの金田一平さんが登壇。北海道や熊本にも拠点を構える同社が軸とする事業の一つが、今回のテーマにも関わるビジネス人材のマッチングサイトの運営です。沖縄を皮切りに、今後は全国展開を目指しており、これまでの経験を踏まえた地方採用について語られました。
まず示されたのは、過去5年間における転職希望者数と求人数の比較データ。転職希望者数は横ばいである一方、求人数はコロナ禍が落ち着くのにつれて上昇傾向に。
その理由として「キャリア制を導入する大企業の増加がある」と金田さんは指摘します。「コロナ禍前から大企業はDXで生産性を上げる必要性に迫られ、新卒採用だけでは補えない知識を持つキャリア採用へ力を入れる傾向が強くなっています。そうなると、私たちのような地域企業も戦略的にキャリア採用へ向き合っていかないと、ますます中途採用は難しくなるでしょう」(金田さん)
しかし一方では、求職者数が横ばいなのに対して地方で働く人の割合は増えており、地域企業にとって採用のチャンスが広がっているとも。「コロナの影響で営業活動やミーティングのオンライン化が普及し、人事においてもオンライン面接が導入されるなど、地域企業にとっては遠方の求職者、UIターン希望者と接触するチャンスが増えました」。そう語る金田さんの会社でも、以前はキャリア採用者全員が県内在住だったのに対し、昨年度は約半分が県外からのエントリーだったそう。
外部環境の変化が地域企業にとって追い風となる中、採用において課題となるのが、求職者とどのように接点を作り、認知してもらい、会社の魅力をアピールできるか?ということ。この課題を解決しようと金田さんの会社で提供を始めたのが「ジョブワーク」という前述の求人マッチングサービスです。沖縄でサービスを提供し始めて6年が経ち、今では沖縄県内最大級のサービスとして成長。今年4月からは熊本でもサービスが開始される予定です。求人側は地域企業はもちろん地域外からの進出企業も登録し、求職者側は正社員または契約社員としてキャリアを築きたい人がメインとなってサイトを閲覧しているそう。
男女の出会いの場となっているマッチングサイトからヒントを得たというこのサービス。求職者の方と企業の方がお互いにプロフィールを閲覧し、気になった相手には「いいね」ボタン、さらに強調したい場合は沖縄だと「でーじいいね」、熊本だと「だごいいね」といった各地の方言で好意をアピール。お互いにマッチングするとチャット機能でやり取りできる仕組みです。
この機能によって自社に興味を持つ求職者が可視化されるわけですが、重要なのが「求職者と企業は対等の関係である」ことを企業側が認識し、企業の方からアプローチを仕掛けていくことだと金田さんは言います。
「求職者にしてみれば、知らない企業へいきなり応募するのはハードルが高い。企業側は応募を待つのではなく、積極的かつ“ちょっとカジュアル”に接触していくことがポイントです」(金田さん)。面接の前からコミュニケーションを取ることで、採用のミスマッチによる退職を減らすことができるそう。また、多くの求職者はエントリー前に応募先のコーポレイトサイトを確認することから「エントリーしたくなるようなサイト作りも大切」とアドバイスをおくりました。
おふたりの登壇を終わり、「“待ち”から“攻め”の採用」へのシフト、「企業が求職者とどうコンタクトを取っていくか」が採用活動におけるヒントとなった今回の講演。
締めの挨拶では、熊本県商工労働部企業立地課課長の工藤明さんから、県内で活躍する企業を応援する「ブライト企業」推進事業やUIJターン就職支援センター、熊本県企業誘致連絡協議会など、熊本県が取り組む事業について紹介。
イベント終了後には改めて交流の時間が設けられ、遠方から足を運んでくださった参加者や登壇者、そして地元の教育機関との間で積極的な意見交換が行われ、名残を惜しむようにイベントの幕を閉じました。
私どもは奈良県を拠点とする通販会社で、3月に熊本へ事業拠点を設けるのに伴い参加させていただきました。一般的な通販会社とは異なり、自社ブランドの商品企画から国内外での製造、貿易、倉庫管理、モデル撮影や広告デザイン、さらにはサイト運用・販売、CS対応や出荷に至るまでを自社で行っています。こうしたノウハウを活かして今後、熊本で通販事業を始めようとする企業様をサポートしていく上で不可欠となるのが地元での採用ですので、興味深く拝聴させていただきました。
今回参加してみて、地域ごとの特色をどう捉えていくかや、自分たちから積極的に求職者へアプローチしていく重要性を再認識しました。また、熊本の教育機関との交流においては、我々の事業活動に学生さんたちがインターンとして入っていただき、その成果を履歴書に書けるまでの価値あるものにしたいと考えています。本日のイベントでそうした接点を持てたことが大きな収穫だったと感じています。
今回のイベントに参加して良かったのは、採用に関する最新のお話や学生から生の声を聞けたこと。私たちの会社ではデジタルによるマーケティング事業やドローンを使ったPR映像事業以外にSNSを活用した人材採用サービスも提供していることから、情報の整合性や事業のビジョンを改めて可視化できました。
今後は東京に本社を置きつつ、イラスト制作やウェブデザイン、ホームページのLP制作などの仕事を地方の皆さんにご依頼し、47拠点を作りたいと考えています。そしてマーケティングやクリエイティブの部署を地域の人たちにお任せすることで、地方都市のITやマーケティングにおけるリテラシーを高め、都心と地方間とのギャップを埋めていきたい。そうした啓発活動の必要性も感じました。
今回参加されていた熊本デザイン専門学校さんと我々の事業は親和性が高く、お仕事を発注させていただくことで学生さんたちにとっての実績となり、採用面でも繋がれるなど、シナジー効果が期待できます。そのような展望をお話することができて、非常に価値ある時間となりました。
Thank You!!
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