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2021.03.10

IT企業が地方移転に向いている理由とは?メリットを詳しく解説

以前から進められてきた本社機能の地方移転や企業誘致などの取り組みですが、近年では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によってさらに広まってきています。

人材派遣大手として知られるパソナグループは本社機能を淡路島に移し、さらに2024年5月までには1,200人の社員らを異動させる計画もあることがわかっており、多くの企業が本社企業を移転させる動きを見せています。

とはいえ、どんな業種でも地方移転ができるわけではありません。展開しているビジネスによっては地方移転が難しいケースもあります。

さまざまな業種の中でも、地方移転に向いていると言われているのがIT企業です。

新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークやリモートワークが広く普及されつつある今、「このまま都会で仕事をしている意味があるんだろうか?」と疑問を感じているIT企業従事者もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、IT企業が地方移転に向いている理由やメリットを詳しくご紹介していきます。

政府が推進する本社地方移転

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東京圏へ人口が集中し、地方の若者人口が減少しているという現状を解決するために2014年9月3日の総理大臣記者会見で発表されたのが「地方創生」という取り組みです。

そして地方創生に関連する施策の一環として2015年には東京圏にある本社機能を地方に移転することを促す「地方拠点強化税制」が開始されるなど、本社地方移転は数年前から行われてきました。

「地方拠点強化税制」は、東京都23区から本社機能の一部もしくはすべてを地方移転させた企業が優遇措置を受けられるという内容になっています。そのほかにも地方自治体がさまざまな補助金・助成金などの支援制度を設けているため、地方移転をすることは企業にも大きなメリットがあります。

すべての地域で適用がされるわけではなく、要件もあるため移転を検討中であれば早めに確認が必要です。

しかしながら、企業が本社機能を移転させるということは、企業に勤めている従業員の生活や働き方も大きく変わるということでもあります。

メリットだけではなくデメリットや課題・問題もあったため、地方への本社機能移転を考えつつも実現に至らなかった企業も少なくなかったようです。

コロナの影響で本社機能を移転する企業が増えている

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2020年になって、本社機能を移転させる動きが広まってきているのはなぜでしょうか?

その大きな理由であると考えられているのが、新型コロナウイルス感染症の影響です。

新型コロナウイルスの影響によって、私たちの普段の生活はもちろんのこと、取り巻く環境も大きく変わりました。外出自粛の動きからリモートワーク・テレワークが推進され、今ではたくさんの企業がリモート下で仕事をしています。

働く環境が変わったことで本社機能を移転するデメリットが減少し、メリットはより増大したため、実際に移転を決断する企業が増えてきているのです。

IT企業が地方移転に向いている理由

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地方移転する企業が増えていますが、中でも地方移転に向いていると言われているのがIT企業です。

実際、すでに多くの企業が地方移転したり、サテライトオフィスを構えたりと地方に新たな拠点を置いています。

ここからは、一体なぜIT企業が地方移転に向いていると言われているのか、その理由について詳しくご紹介していきます。

場所を選ばずに働くことができる

業種によっては、地方移転を望んでも実現が難しいこともあります。しかしIT企業の場合、事業の内容にもよりますが、ほかの業種に比べると地方移転で負うハンデは非常に少ないといえます。

たとえば、IT業界でも代表的な仕事として知られるITエンジニアであれば、納品するものは自分が書いた「ソースコード」です。

これを指定されたファイル形式で納品することで、基本的には仕事が完了します。つまり、依頼から作成、納品までインターネット上ですべての仕事が完結するのです。

物流業であればそうはいきません。品物を実際に受け取り、運搬し、相手先に届ける必要があります。

IT企業の事業は人と対面することなくインターネット上で完結する仕事も多く、仕事のためのネット環境と、パソコンなど端末があればいつでもどこでも仕事をすることができます。

実際、IT企業で仕事をしている人の中には一度もクライアントと顔を合わせることなく仕事を終えたという方も多いのではないでしょうか。

このような動きは新型コロナウイルス感染症の影響によってさらに広まってきており、ビデオ通話で打ち合わせや商談、ミーティングを行い、チャットで連絡を取り合い、仕事を進めるということが段々と当たり前のことになりつつあります。

コロナ禍をきっかけにして「どこでもできる仕事なのに、どうしてわざわざ高い家賃を支払って都会で仕事をしているんだろう?」と自分の働き方に疑問を感じ始めている方もIT業界では多いようです。

国がITを活用した地方活性化を推進している

地方創生IT利活用促進プラン」で政府も「ITは地方が抱えている課題を解決する有効な手段である」としており、ITの活用を通じて地方創生を進めていくことを発表しています。

これはIT企業が地方に進出しやすいよう、国がさまざまな取り組みを行っていくということでもあり、IT企業はこれを活用して国の後押しを受けながら地方で事業を発展させていくことができるのです。

生産年齢人口の減少が問題になっていますが、働き手不足はIT企業でも深刻な問題です。多くの業種において人材不足だと言われていますが、その中でもIT企業が抱えている問題は大きく、経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」によれば、IT業界の人材は2030年には最大で79万人が不足すると言われています。

約79万人というのは高位シナリオであり需要の伸びが最も高かった場合ですが、低い場合で約16万人、中間でや約45万人が不足すると言われており、いずれにせよIT人材不足に陥る企業は増える見込みです。

このような状況が予想される中で、国の後押しを受けることができるというのは企業にとって大きなプラスとなるでしょう。

広々としてストレスの少ない地方の環境は新しい人材育成を行ううえでも良い効果をもたらしてくれるでしょう。

リモートワーク・テレワークの普及

新型コロナウイルス感染症の影響により、これまでリモートワーク・テレワークという言葉を知らなかった企業にまで認知されています。

感染拡大を防ぐためにリモート下で仕事をすることは政府、そして社会全体で推進していることでもあり、多くの人々がリモートワーク・テレワークという働き方に理解を示しています。

また、IT企業だけでなくほかの企業でもリモートワーク・テレワークを取り入れているところもあり、IT企業にとってはビジネスのための環境がより整ってきている状況です。

政府や地方自治体のバックアップ体制が整っている

上記でもご紹介した通り、ITを活用した地域活性化は国が推進している取り組みです。そのため政府や地方自治体のバックアップ体制が整っており、地方移転するIT企業はさまざまなサポートを受けることができます。

どのような取り組みを行っているかはそれぞれの地方自治体で異なっていますが、個性豊かな補助金・助成金などの支援制度が整っているため、それらを活用しながら事業を進めていくことができます。

都内で起業したものの、事業がなかなか軌道に乗らずに苦戦しているという場合も、地方に移転することで思わぬビジネスチャンスが転がっているかもしれません。

補助金や助成金には受給のための要件があり、基準を満たす必要があるため事前確認が必須です。期限なども確認したうえで計画的に進めていきましょう。

前例がいくつもある

地方移転したIT企業は数多く存在しています。すでに前例がいくつもあるため、前例を参考にしながらより環境や条件を選び、自分の思うように地方移転を進めることができるというのは大きなメリットでしょう。

もちろん、地方へ移転したIT企業の中には事業に成功した企業だけでなく、思ったような結果を得ることができなかった企業もあるでしょう。

これから地方移転を考えているIT企業の方は、これらの成功例・失敗例を参考にすることで同じ失敗を繰り返すことなく、スムーズな地方移転を進めることができます。

IT企業が地方移転するメリット

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ここからは、IT企業が地方移転するメリットをご紹介していきます。地方に移転することにどのようなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。

コスト削減

本社機能を移転させることの大きなメリット、それがコスト削減です。都心でしかも大きな企業となれば、借りる敷地も増えて家賃も高くなります。

たとえば、本社事務所を借りる費用として毎月5,000万近い家賃を支払っている企業が、本社機能の一部もしくはすべてを地方に移転すれば家賃を大きく削減することができます。

都市圏と比較した場合、地方の家賃は5分の1ほどにもなると言われており、固定費を大きく下げることが可能です。

IT企業の場合、コロナ禍ではオフィスを持っている会社であってもリモートワーク・テレワークによって社員が自宅で仕事をしているというケースも多く、家賃が無駄なコストになってしまっているという企業もあるでしょう。

働く場所を選ばないIT企業だからこそ、地方に本社機能を移転させるという大胆なコスト削減を行うことができます。

また、地方は最低賃金が低いためアルバイトやパートの時給も低くなり、人件費を削減できるというのも企業におけるメリットとなります。

地方はホワイトカラー系の仕事が少ないこともあり、就職してからの定着率が高いことも特徴です。

ワークライフバランスの改善

地方移転することは、自社で働いている従業員のワークライフバランスの改善にもつながります。

総務省統計局が発表した「平成28年社会生活基本調査─生活時間に関する結果─」によれば、都道府県別に見た通勤・通学時間は関東地方で長く1位は神奈川県で1時間45分という結果になりました。

  1. 神奈川県…1時間45分
  2. 千葉県……1時間42分
  3. 埼玉県…1時間36分
  4. 東京都……1時間34分
  5. 奈良県…1時間33分
  6. 大阪府…1時間25分
  7. 兵庫県…1時間21分
  8. 京都府…1時間20分
  9. 茨城県、愛知県…1時間19分

その逆に、最も通勤・通学時間が短いのが大分県で57分という結果が報告されています。長い通勤時間は働くうえでのストレスになりますが、本社機能を移転させることでこれらのストレスも軽減されるでしょう。

地方の場合、そもそも都心のような通勤ラッシュや満員電車がありません。都会の喧騒から離れ、地方の自然あふれるのびのびとした環境で働くことができるのは大きなメリットとも言えます。

窮屈な環境から解放されることで生産性も上がり、たくさんの刺激を受けることでよりクリエイティブな仕事にもつながるでしょう。

事業の成長

地方に移転することで新たな顧客を開拓することができるほか、地元の企業と連携することで新しいビジネスモデルが生まれる可能性もあります。

地方では都会では行うことが難しかった実証実験を行える環境もあるため、構想を練っていたビジネスを形にするチャンスでもあります。

さまざまなコストを削減しつつ、さらに地方自治体や国の支援制度による後押しを受けることで大きな投資が可能となるもメリットであると言えるでしょう。

まとめ

IT企業の地方移転について詳しくご紹介いたしましたがいかがでしたでしょうか?

本社機能の一部もしくはすべてを地方に移転する動きは新型コロナウイルス感染症の影響によってさらに広まりました。

IT関連の仕事の場合、インターネット環境とパソコンさえあればどんな場所でも仕事ができるという大きな強みがあります。その強みを活かし、コスト削減・ワークライフバランスの改善・事業成長につながる地方移転を計画してみてはいかがでしょうか。

IT企業の地方移転はすでに数多くの前例があるため、それらの前例を参考にしながら進めることでデメリットが解消され、よりよい環境下でのスタートアップを実現できるでしょう。

地方自治体や政府の補助金・助成金などの支援制度を活用する予定であれば、早めに期限や要件を確認したうえで不備のないよう申し込むようにすることが大切です。

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