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特集記事 2023.02.21
特集記事
2021.12.02
コロナウイルスの流行を機に、近年、積極的に企業導入されるようになった新たな働き方のひとつに”ワーケーション”があります。
従来の働き方では、職場で勤務しなければいけない、出勤・帰宅の際に交通混雑を経験しなければいけない状況にありましたが、テレワークを通じた”職場にとらわれない”働き方が普及したことで、これらの苦労を味わう機会が減ったという方は非常に多いのではないでしょうか?
また、テレワーク制度・ワーケーション制度を導入した企業は福利厚生の面で従業員のサポートを手厚くできる効果を期待でき、人材獲得や離職率の低下などにつながっていくと考えられています。
このようなワーケーション制度ですが、何も企業と従業員にとってメリットがあるだけでなく、この環境を提供する地方地域にとっても同様に魅力あるものとなっており、ワーケーション制度が全国的に普及していけば”地方創生”を前に進める大きな力になると考えられています。
今回の記事では、近年、目覚ましい普及を見せる”ワーケーション制度”と日本の課題解決の糸口として掲げられる”地方創生”の関連性に関して、どのようなつながり・仕組みがあるのか、ワーケーションの普及によって地方地域にとって、どのような波及効果が期待できるのかをご説明していこうと思います。ぜひ最後までご覧になってください。
ワーケーションはテレワークという働き方の潮流に乗って、これを更に発展させた新たな働き方のひとつです。
テレワークとは一般的に、 情報通信技術等を駆使して従来は職場で行っていた業務を職場以外の場所で行えるようにした(行うようになった)働き方のことであり、ワーケーションはテレワークの中でも特に、”働きながらも同時に休暇をとる”ということを目的に、休暇地で仕事に勤める働き方のことを意味しています。
欧米諸国やIT系企業では随分と昔から導入されていた働き方でしたが、日本の場合には通信技術の発達に伴った新たな働き方への移行が活発に行われることはなく、テレワークという働き方が日の目を見ずにいました。
コロナウイルスは世界各国に危機的な状況をもたらしましたが、ある意味では新たな働き方へと移行せざるを得ない状況を作り出したともいえ、日本企業のすべてがアップデートを図る機会になったと見ることもできます。
ワーケーションとは異なり、”地方創生”の言葉は人口減少や少子高齢化、都心部への人口の一極集中などの問題が日本全体で顕在化していく中で安部政権のもと、「人口急減・超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、政府一体となって取り組み、各地域がそれぞれの地域を活かした自立的で持続的な社会を創生すること」を目的として掲げられたものです。
人口減少を克服し、将来に亘って成長力を確保し、”活力ある日本社会”を維持するため、
①稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする、②地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる、③結婚・出産・子育ての希望をかなえる、④ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる、という4つの基本目標と、
①多様な人材の活躍を推進する、②新しい時代の流れを力にする、という2つの横断的な目標が掲げられ、各種の政策が取り組まれています。
地方創生のための取り組みは多種多様であり、再開発などを通じて再び人の流れが生まれるようにし、地方にある中心市街地の活性化を実現した事例や、地方企業に就職すると在学中に借りていた奨学金を肩代わりしてくれる制度を整えるといったように、奨学金を活用して地方出身の高校生・大学生が地方に定着するための仕組みを整えた事例などさまざまです。
これまでで、地方創生とワーケーションがどのようなものであるかをご理解いただいたかと思いますが、この2つの取り組みにはどのような関係があるのでしょうか?
ワーケーション制度が全国的(企業導入だけでなく各地域の環境整備など)に普及することによる、地方創生への効果は以下のメカニズムで説明することができます。
流れはこのように説明できますが、それぞれをより詳しく見てみましょう。
ワーケーション、地方創生に続いて重要となるキーワードが”関係人口”です。関係人口とは、ある地域やそこに住む人々と、その地域の外に住む人々の関わり方をカテゴライズしたひとつの言葉であり、関係人口とは別に交流人口、定住人口というものがあります。
交流人口とは、観光などを目的として地域を訪れるように、地域との関わり方が一時的である人々のことを意味しており、定住人口とは、地域の中で生活の基盤が築かれており、非常に密接な地域との関わりを持っている人々のことを意味しています。
そして、関係人口は両者の中間の位置に存在する人々として説明されており、この人々の地域・地域住民との関わり方は多様なものとなっています。
この関わり方の詳細に関しては、関係人口を増加させることを目的としたサイト、『関係人口ポータルサイト』にてご説明されていますので、お時間の許す際にぜひそちらもご覧いただければと思います。
(出典:地域への新しい入り口-関係人口ポータルサイト_「関係人口とは?」)
多様な地域との関わり方を内包している関係人口ですが、地域との関わり方のひとつとして”ワーケーション”が挙がってくるのです。
ワーケーションは休暇(観光)を目的とした側面を有していますが、これだけでなく、一定期間滞在しながら働くという側面も有しているため、交流人口のように地域との関わり方が一時的なものになることはありません。
仕事の内容によっては地域の方々と協働で行うというケースもあるかも知れませんし、ワーケーションプランなどを利用していると地元の方しか知らないような穴場(地域の魅力)を見つけられることだってあるかも知れません。
ワーケーションひとつとっても、地域との多様な関わりを想定することができるため、これが全国の地域の関係人口創出につながるのではないかと強く期待されています。
先に触れたように、ワーケーションは”働きながらも同時に休暇をとる”ことを目的とした働き方であるため、滞在日数が数日ということは少なく、数週間ほどに及ぶ利用者も多いです。
ワーケーション期間中には、滞在先としてホテルや旅館を使うことになりますし、仕事の合間や仕事が終わった後に周辺の観光施設・観光スポットを周遊することが必ずあります。また、滞在期間が長くなるほど、普段の生活の必需品を周辺の商業施設で買い揃える機会だって出てくるといえます。
このように、ワーケーション利用者たちが期間中に行った消費活動は、地域全体として考えると”外部から地域内にお金が落とされていく”ということを意味しており、地域内の経済を活性化するためのカンフル剤として機能すると考えられています。
地域経済が何かを起点にして活性化していく波及効果は非常に大きく、先に説明した観光業・宿泊業・商業が盛り上がると、そこに勤めている従業員の方々が、地域内に立地しているまた別の分野にお金を落とすようになり、この流れが地域内で循環し続けていくのです。
このようにして地域の経済が活発になると、地域を管轄する自治体に入っていく税収も増加していき、これを利用して、自治体はまた新たに政策を実行できるようになります。
このようにして、地域住民、事業者、自治体のすべてが総動員となって地域の魅力を向上させていくことができるようになるのです。
先に交流人口・関係人口・定住人口についてご説明しましたが、関係人口であった人々が地域の魅力や、地域に住む人々の人としての良さを知ることによって、関係人口の中から実際に地域で生活したいという人が現れるようになる可能性が期待できます。
上の図が示すように、交流人口・関係人口・定住人口の区分は、”地域との関わり方の深さ”と”それぞれの地域に対する想いの深さ”がもとになっていますので、地域側は地域を訪れた人々がこのような観点で心の琴線に触れる仕組みを整えていくことが重要になっていくといえます。
ワーケーションの普及、関係人口の増加を通じて、地域で暮らす人々が増加するようになると、地域の人口減少やこれに伴う地域自治・地域経済を維持に係る各種の課題を解決できるようになります。
移住・定住までをも視野に入れるのならば、ワーケーションに力を注ぐだけでなく、その先(移住・定住等)の支援も積極的に行っていき、地域を訪れる人、地域に暮らす人のすべてが幸せに感じる包括的な仕組みを整えることが重要になるといえます。
ここまで、ワーケーションと地方創生の概要、この2つの関係性に関してご説明してきましたがご理解いただけたでしょうか?
ワーケーションの普及が地方創生につながっていくビジョンがうっすらでも見えたのではないかと思う一方で、ワーケーションを企業導入するにあたって、ワーケーション環境を整備するにあたって検討すべきこともあり、すべての人にとってより良い制度となるにはもう少しの時間が必要だといえます。読者の皆さまも実際にワーケーションを利用される際には、ワーケーションに関してより詳細に調べてみていただければと思います。
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