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特集記事 2023.02.21
特集記事
2021.11.28
コロナウイルスの流行をきっかけに、企業・そこに勤める社員の働き方は大きな改革を迫られ、”テレワーク”や”ワーケーション”といった新しいワークスタイルに注目が集まるようになってきました。
ワーケーションの制度は、これを導入する企業や社員、ワーケーション環境を提供する地域の自治体など、さまざまな立場・観点から利点があり日本政府としても全面的な推進体制を築いています。
この後押しを行っている組織には総務省がありますが、総務省がワーケーションを推進する背景には、”関係人口を創出・拡大する”という目標が掲げられているためであり、この目標とワーケーションには深い関係があります。
今回の記事では、総務省とワーケーションのつながりに関して詳しく解説していきたいと思います。また、ワーケーション推進のための施策や、企業が提供される、自治体が提供するワーケーション関連の補助金に関しても詳しく触れていきますので、ぜひ最後までご覧になってください。
ここでは、総務省が推進する”ワーケーション”と、目標のひとつとして掲げられている”関係人口”のつながりに関して説明していきたいと思います。
テレワーク・ワーケーションという新たな働き方が企業へ導入されるようになり、随分と時間が経ったため、既にその意味を知っている方も多いかと思いますが、ワーケーションとは、働くことを意味する「Work(ワーク)」と、休暇を意味する「Vacation(バケーション)」の2つの英単語を組み合わせた造語であり、「働きながらも同時に休暇をとる」という意味合いがあります。
そして、このワーケーションと深い関わりを持つと冒頭にて説明した”関係人口”とは、日本の地域と日本に住む人々、この両者の関わり方を基準として作られた言葉であり、ある地域に生活の拠点があり常に地域と関わりを持つ”定住人口”と、観光などを理由としてある地域と一時的な関わりを持つ”交流人口”、この2つの中間の関わり方をしている人々のことを表しています。
関係人口で説明される、地域と人々の関わり方は多様であり、生活拠点が地域内に無かったとしてもその周囲に位置しており一定の頻度で地域との関わりが生まれる人々や、自身の親族が地域に生活している・以前の仕事場が地域にあったというように何かしらのルーツを地域に持つ人々なども”関係人口”に該当するとされています。
(出典:地域への新しい入り口-関係人口ポータルサイト_「関係人口とは?」)
このような関係人口ですが、これは日本各地の地域の持続性を維持するための糸口になるのではないかと注目を集めているため、日本政府も各自治体も積極的に制度を利活用しているのです。
”関係人口”の考え方が広まるようになった背景には、日本の地方地域にルーツを持つ若者が都心部へと流出していき(地元離れをしていき)、地域の持続性を維持することが困難な状況になってきたことが挙げられます。
学校や就職を機に地元を離れる若者は非常に多く、これが結果として、地方地域の人口減少・少子高齢化をもたらすこととなっているのです。また、若者が減少することによって地域の産業や自治体といった地域を支える担い手が減ることにもなり、地域の後継者不足も大きな問題となっているのです。
このような状況を解決する可能性を秘めているのが、”関係人口”です。
自治体が地域の外で生活する人々と、地域や地域内で生活する人々とを結びつける事業を行うことによって、決して地域の中に生活基盤を構えていなかったとしても、地域との結びつきを強くした(関係人口に属する)人が地域の事業を支援したり、地域の活性化につながる事業を創出したりといった効果を期待できるようになるのです。
また、地域との関わりが増えると、地域の魅力や地域での生活を送る人々の良さを知る機会が自然と増えることにもなり、結果としてそのような機会を得た関係人口の人々が、地域へと移住(定住)するようになる可能性も増してくるのです。
ワーケーションと総務省が目標として掲げている関係人口のつながりをご理解いただいたところで、ここではワーケーションを後押しするための事業に関してご説明していこうと思います。これらの内容を説明する前に、総務省が掲げる”関係人口創出・拡大事業”の概要に関しても触れていきますので、ワーケーションと関係人口の全容を掴んでもらえればと思います。
まずはじめに、ワーケーションを推進する根拠ともなっている、総務省の関係人口創出・拡大事業の概要に関して説明していこうと思います。
この事業は、仕事などの関係で特定の地域を往来する方や、過去に仕事や居住・滞在などを通じて地域と関わりを持ったことのある方、地域の出身者である・親族がいるなど地域にゆかりがある方、ワーケーションを利用して地域を訪れた方など、その地域に関係のある人とその地域で暮らす人々を結び付けていける活動を行うことを指しています。
具体的な取り組みとしては、移住・交流施策の在り方に関する検討会や、国民が関係人口として地域と継続的なつながりを持つ機会やきっかけを提供する地方公共団体の支援などを行っています。
ここからは、総務省が実施しているワーケーション推進事業に関してご説明していきます。
ひとつめに紹介するのは「テレワーク普及展開推進事業」です。総務省では、この事業のもと、中小企業を支援する団体と連携したテレワーク・サポートネットワーク事業の展開を開始しています。
テレワーク・サポートネットワークでは、全国の中小企業がテレワーク導入や促進のために、地域の中小企業を支える団体と協同して、テレワークの相談や問い合わせの対応、相談会を実施してテレワークを導入するための支援を行っています。
総務省は、企業側主導ではテレワークの導入が進展しにくい地域に対して、サテライトオフィスの整備を推進することを目的として、このような事業を展開し始めました。
サテライトオフィスとは、企業や団体の本拠地から離れた場所に設置されたオフィスのことであり、都心部で社員が味わうこととなる通勤混雑を回避できたり、遠隔地での勤務を可能にしたりする目的で設置されます。
近年では、本拠が災害で機能停止に陥ったとしても他の拠点で業務を行えるという、災害時における企業のレジリエンス(※)を高められる観点からも注目が集まっており、サテライトオフィスも設ける企業が随分と多くなってきています。
総務省は、一定のセキュリティ水準を確保したサテライトオフィスの整備に係る事業を実施する地方公共団体、もしくは地方公共団体を1つ以上含むコンソーシアムに対して助成を行っています。
※レジリエンスとは、何かしらの問題が生じた後に柔軟に速やかに元の状態に戻るための力のことを意味しています。
ここでは、ワーケーションの導入をサポートするために用意された補助金に関してご説明していこうと思います。
補助金と似た言葉として助成金もありますが、この両者には似ている部分と異なっている部分があります。
共通している点としては、国や自治体といった公的な資金が財源となっている点であり、助成金は、民間企業が国に支払う保険料を財源として用意されており、一方の補助金は国のや自治体の予算(税収)から用意されています。また、これらの資金は原則として返済する義務がない点も大きな特徴です。
異なる点としては、申請期間や申請できる対象者、支給金額などが挙げられます。申請期間では助成金がいつでも申請可能となっているのに対し、補助員は公募期間があらかじめ決められていることが多いです。また、対象者の観点では助成金は個人、補助金は事業者を対象としています。このような支援対象の違いに合わせて、支給金額も助成金が数十万円ほどであるのに対し、補助金は数百万円なら数十億円までと非常に幅のあるものとなっています。
前章にて総務省の事業を紹介しましたが、このような補助金支援を受ける際には、ワーケーションを活用しようと考えている自治体に申請を行う必要があります。
ワーケーションを支援するための補助金はさまざまあり、その内容も支給される金額もワーケーション補助金を申請する自治体によって異なります。ここでは、ワーケーション補助金の主な種類や、多くの自治体で広く一般的となっている支給額に関してご説明します。
各自治体ごとに違いがあるのは先に触れたとおりですので、実際に補助金の申請を行う際には自治体のホームページを確認してみたり、役所の担当課に尋ねてみるなど、されてみてください。
ワーケーション補助金の対象となる経費は自治体ごとに違いがありますが、主な種類としては以下のものが挙げられます。
ワーケーションを実施しようと考えている企業にとっては、いきなり特定の地域にワーケーション環境を築くのではなく、自社にとって最適の場所であるかを事前に確認したいものかと思います。
補助金の対象となる経費は、ワーケーション環境を築く前の、地域視察といった際に発生する宿泊費や交通費(視察時の旅費)に対しても対応可能となっているので、企業・事業者の皆さまにはぜひ積極的なワーケーション導入を検討して頂ければと思います。
また、上記に紹介した以外にも、オフィス家具やWeb会議のために必要となる設備・機器類の準備に掛かる経費を対象とする自治体もあり、ワーケーション環境を築く前から築くまで・築いた後のサポートまで豊富に揃っています。
補助金の金額は、自治体によって対象となる経費や利用回数などに違いがあるため、これに合わせて給付額にも差が生まれるようになります。一例として、宿泊費を対象とする自治体でも、すべてを無料とする自治体がある一方で、一泊あたりの上限額を定めている自治体も少なくありません。また、交通費も似たような形式で、往復分すべてを対象とする自治体と片道分のみを対象とする自治体があります。
補助金を利用すればワーケーションの導入が、より現実味を帯びたものとなっていきますが、利用する際には注意すべき点もあります。実際に利用する際には、以下の注意点を踏まえながら補助金の申請手続きを進めてもらえればと思います。
それぞれに関して詳しく見ていきましょう。
これまでにも何度も説明したように、補助金の内容や申請条件、申込方法などは補助金を提供する自治体ごとによって異なります。
そのため、補助金を利用する際には、あらかじめ対象の自治体のホームページ等を利用して、補助金の詳細を確認しておくことが重要となります。
地方の自治体などでは、補助金に関する情報をホームページ等に記載していないこともありますので、そのような際には自治体の役所の担当課に電話を入れて訪ねてみる等も行ってみてください。
先に触れた補助金の詳細と通ずるものですが、ワーケーション補助金として支給される金額が想定よりも少なかったために、ワーケーション導入後に資金が不足してしまう事態などに陥ってしまうと、企業の存続も危ぶまれてしまいます。
補助金の詳細を確認するだけでなく、ワーケーションを導入することで企業の収支バランスがどのように変化するのかも想定しておくようにしましょう。
助成金と異なり、補助金は一定の期間を設けて公募されることが一般的であるため、補助金を利用しようと考えられている企業・事業者の方は、常に最新の情報を入手するように心掛けましょう。
補助金の支給公募を行っている自治体担当者に直接連絡をとると、公募中のものだけでなく、今後公募される補助金の内容等に関しても説明してくれると思いますので、ぜひ積極的に行動されてみてください。
ここまで、総務省がワーケーションを推進する背景や、そのために展開している事業、ワーケーション導入のために活用可能な補助金に関してご説明してきましたが、いかがだったでしょうか?
ワーケーションの推進は日本政府全体として行っていることもあり、事業を展開している省庁は総務省だけに留まらず、国土交通省の観光庁や、厚生労働省、経済産業省など多岐に亘ります。
こちらの記事で紹介したワーケーションに関連する総務省の支援事業以外にも、さまざまな支援事業を多くの省庁が展開していますので、これを機に他の事業にもご興味を持っていただけますと嬉しく思います。
また、補助金に関しても、多くの自治体がワーケーション導入企業を誘致するべく積極的にさまざまな支援を展開していると思いますので、こちらに関しても最新の情報を入手できるように常にアンテナを張っていてもらえればと思います。
この記事がワーケーションを検討している企業・事業者の方のお力になれば幸いです。
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