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特集記事 2023.02.21
特集記事
2021.11.25
新型コロナウイルスの流行・日本政府からの在宅勤務体制の移行要請などによって、企業が積極的にテレワーク体制に移行したことによって、テレワークを経験された方・現在進行形でテレワークに取り組んでいる方も多いのではないでしょうか?
テレワークは従来の働き方と異なり、”職場以外の場所”でも働けることができるため、テレワークで仕事に勤める従業員にとっては通勤に掛かる移動時間・移動費等のコストを削減できるといったメリットもあり、テレワークの良さを感じられた方もいるかと思います。
しかしながら、一方で、テレワークは仕事とプライベートの関わりが非常に近接することになるため、企業側が労務管理を徹底することが難しくなる傾向にあり、残業代が支払われないなどの労働問題が発生してしまうことがあったり、このようなケースに陥るのを事前に防ぐためにテレワークにおける残業禁止措置をとったりすることがあります。
今回の記事では、そのようなテレワーク業務体制における残業の扱い方、残業禁止を伝えられた・残業に対する賃金が支払われないといったトラブルに遭った際の対処法、テレワーク環境で労務管理を行う方法に関してご説明していこうと思います。ぜひ最後までご覧ください。
既にテレワークを経験したことのある方も多いかと思いますが、ここではテレワークの基本をおさらいしていこうと思います。
テレワークとは、情報通信技術等を活用して、”職場以外の場所”で働くことを可能にした勤務形態のことを表しています。テレワークの概念を基本として、働き方は更に細分化されており、在宅勤務や、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務、ワーケーションなどといった働き方が存在します。
冒頭にて触れたように、テレワークは従業員が活用できる自由な時間の増加につながるとともに、業務効率の改善やワークライフバランスの向上といった利点がありますが、その一方で、労務時間のトラブルをはじめとした、さまざまな問題も指摘されています。
テレワーク環境における顕在化しやすい問題には以下のものが挙げられます。
◆従業員側の問題
◆企業側の問題
◆テレワークの潮流が生まれつつある日本社会への問題
企業が独自の企業規則を設定する、日本政府・地域自治体からのテレワークに関する支援を更に手厚くするなど、これらの問題に対して適切となる方策をそれぞれのアクターが積極的に行っていくことが必要になるといえます。
テレワークでも従来の働き方と同様に、従業員は残業を行えば、それに対しての賃金が支払われる権利を有しています。しかしながら、テレワークは未だ労務管理の面で課題を抱えており、その課題を回避するためにも企業が残業禁止命令を出すこともあるかと思います。
しかしながら、業務の都合上、どうしても残業を行わなければ業務を完遂することができないとなって残業を行ったとしたら、残業代は支払われるのでしょうか?
ここでは、法律における残業の定義を確認したうえで、使用者(従業員を監督する立場にある人・企業)が残業を禁止している場合の取扱を確認していきたいと思います。
一般に残業と呼ばれるものには、”法定時間外労働”と”法定内時間外労働(法内残業)”があります。
”法定時間外労働”とは、労働基準法第32条にて定義づけられており、「使用者は労働者に対して、1日8時間、週に40時間を超えて労働させてはならない」という条文の中の、”1日8時間”、”週40時間”を法定労働時間とし、この時間を超えた労働のことを意味しています。
この条文から明らかなように、法定時間外労働は法律で原則として禁止されているのです。
しかし、使用者は労働者との間で協定を締結し、労働基準監督署へその協定の旨を届け出た場合に限り、協定に定めた範囲で労働者に法定時間外労働をさせることができるようになっています。
この例外措置があるといっても使用者は労働者に対して残業を無制限に課すことはできず、1ヵ月に45時間まで、1年で360時間までという制限が設けられています。
一方の”法廷内時間外労働(法内残業)”は、企業と従業員の間で労働条件に関して結ばれた労働時間が、8時間(法定時間)よりも短く定められた場合に、当該の所定労働時間を超える労働のうち、1日の労働時間が8時間を超えない部分までのことを意味しています。
一例としては、企業と従業員の間で1日の労働時間(所定労働時間)を6時間とする条件で雇用が成立した際に、1日に6時間を超えて、かつ、8時間未満の時間で働いた労働のことを、法定内時間外労働と呼ぶこととなります。もし仮に6時間の所定労働時間に対して9時間働いた場合、8時間以上経過した時間での労働は法定時間外労働に該当することになります。
普段は”残業”という言葉を使うことが多いため、上記のように、残業が細分化できることを初めて知った方も少なくないのではと思いますが、この2つの労働(残業)形態には以下のような違いがあります。
それぞれを確認していきましょう。
法定時間外労働に関しては、通常の賃金の1.25倍以上、1.5倍以下の割増賃金を支払わなければならないということが、労働基準法第37条に定められています。これに対して、法内残業に関してはそのような規制が定められていません。
法内残業は割増賃金に関する条項が労働基準法にて定められていないものの、だからといって使用者は労働者に対して通常の賃金を支払わなくていいことにはなりません。
法内残業も時間外労働であるため、割増は掛からなくとも、その分の賃金を基本給とは別に請求することができます。
企業側から残業をしない旨の指示がされている場合、この指示は業務命令ということになりますので、従業員の方は原則として、この命令を遵守し残業をしてはならないということになります。
残業が禁止されているのに自発的に行った残業は、企業の指揮命令に則った労働とは認められず、労働時間に該当しないことになるため、残業代の支給対象となることもありません。
しかしながら、企業が形式的には残業を禁止する旨を指示しておきながら、その実態として残業をしなければ業務を完遂できないような業務を割り振っているのならば、残業代の不支給として違法扱いとなり、残業代の支払い対象として認められる可能性もあります。
残業代の不支給(残業に関する違法)の一例には以下のものが挙げられます。
テレワーク環境における課題として労務管理の難しさ、時間外労働の勤務に対する賃金トラブル、具体的な法律上の残業に関して確認しましたが、実際にそのようなトラブルに見舞われた場合には、労働に対してきちんと支払われていない分の残業代を請求できるようになっておかなければいけません。
ここでは残業代を請求する方法を詳しく説明していこうと思います。
残業代の支払いに関して違法があったことを認めてもらうために、有効となる証拠を集めておくことが必要となります。
以下のものが証拠として利用できます。
証拠集めと同時に、支払いが行われていない分の残業代がいくらであるかを計算しましょう。
残業代の基本計算式は[残業した時間×1時間当たりの賃金×割増率]となります。
残業した時間は、法定労働時間を超えて労働した時間(法定時間外労働)、または所定労働時間を超えて労働した時間(法定内時間外労働)のことを表しています。
1時間当たりの賃金は、[基本給および諸手当÷1ヵ月の所定労働時間]で計算されます。
割増率は、残業を行った時間帯がいつであるかによって以下のように変化します。
証拠集め、残業代の計算が済んだら、実際に会社に残業代の請求をします。担当部署に直接交渉する方法や、内容証明を用いて請求書を送付する方法などがあります。
会社が応じないという場合には、労働審判や訴訟を利用して請求することになりますが、状況によって適切な請求方法は異なるため、労働組合や労働基準監督署、弁護士等に相談を行い、どのような方法を選択すべきかを伺ってみていただければと思います。
テレワーク環境における残業の扱い方、残業等の労務時間・労働賃金の支払いに関するトラブルが発生した際の対処法に関してご説明してきましたが、いかがでしたか?
テレワークは確かに、これまでになかった新たな働き方であることに変わりありませんが、だからといって労働基準法があてはまらなくなるということはなく、残業を行えばそれだけの残業代を請求することが可能となっています。
テレワークは労務管理の点において課題が多いため、企業のテレワーク環境下における労務管理システムの改善を待つだけでなく、企業が定める労働条件を了承したうえで企業に勤めている従業員それぞれが自衛の意識を持つことも重要となります。
今回の記事が、残業に関する理解を深め、テレワークにおける快適な労務環境を確立するための能力を身に付けるために役立てば幸いです。
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