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特集記事 2023.02.21
特集記事
2021.11.24
コロナウイルスの流行・日本政府からの在宅勤務体制の導入や実施といった要請を契機に企業導入が加速度的に増加した”テレワーク”。この度、厚生労働省はそのようにテレワーク体制が普及しつつある社会情勢を鑑みて、情報通信技術を活用した事業場外勤務に関するガイドラインを改定しました。
情報通信技術を利用した”職場以外の場所で働く”という働き方は数年前から既に存在しており、推奨が行われてきていましたが、日本国内の企業では大手企業やIT系企業のみが導入するといったように統一的な普及において偏りをみせている状態でした。
そういった文脈を踏まえると、コロナウイルスの流行は全国的に新たな働き方へと改革するための良いきっかけになったと考えることもできます。
しかしながら、急な働き方の改革に迫られた企業や従業員は、体制変更、働き方ルールに関する企業全体での理解と徹底、新たな働き方を利用しやすい環境づくりなど奔走する日々があったことと思います。
厚生労働省はこのような社会状況に合わせて、従来のガイドラインを”よりテレワークの普及に特化した”文脈へと改定しました。今回の記事では、改定後のガイドラインのポイントをご説明していきますので、ぜひ最後までご覧になってください。
厚生労働省は、2018年にテレワークを中心とした業務体制に関するガイドラインとして『情報通信技術を活用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン』を公表していました。
このように従来から情報通信技術を活用した”職場以外の場所での働き方”を普及する動きが起きていましたが、日本におけるテレワークがコロナウイルスを契機に格段に普及した経緯を踏まえて、時代や新型コロナウイルス環境下におけるテレワーク実施としてのポイントに焦点を当てて改定したものといえます。
そして、そのような経緯も相まって、ガイドラインの名称も大きく変更しており、従来の名称から、『テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン』へと変更されました。
”テレワーク”という言葉がきちんと明記される形となり、”テレワーク”としての働き方を全面的に推奨しようとしている背景が窺えます。
ガイドラインを改定するに至った社会的な背景を確認したところで、ここからは実際に改定後のガイドラインの中身を確認していこうと思います。
改定後のテレワークガイドラインは以下の形でまとめられています。
それぞれに関して詳しく見ていきましょう。
テレワークが普及して随分と経つため、”職場以外の場所で働く”ということを経験したことのある人も随分と多いことかと思いますが、ここではテレワークとしてどのような形態があるかを確認していこうと思います。
テレワーク体制で実現される勤務形態には以下のものがあります。
それぞれの詳細は以下の通りです。
テレワークとして最もポピュラーな形態のひとつである、在宅勤務。自宅をオフィス環境のように利用する勤務形態です。通勤を要しないことから、職場へ向かうまでに要していた時間が余剰として生まれ、自由に使える時間が増えるようになります。
自宅の近くや通勤途中の場所、時には日本全国の地域といった遠隔地に設けられたサテライトオフィス(シェアオフィス・コワーキングスペース含む)を利用して業務に取り組む形態です。通勤時間の短縮を図れるとともに、企業の観点に立つと災害等が発生した際のリスクを小さくできるというメリットも有しています。
従業員が働く場所を自由に選択できる業務形態です。働く場所に縛られることがないため、有休休暇を申請して”休暇を兼ねた”働き方を実現するワーケーションなども存在します。外勤における移動時間を利用できるなど、業務の効率化が図られるといわれています。
ここでは、労使関係にある企業と従業員の双方にとってテレワークが好影響を与えるものとなるように、労務管理と良質なテレワークの実施を行う必要性が説明されています。
従来の労務管理の状態を見直すことが、業務効率や生産性向上につながるとして、最終的には企業自体にも好影響が還ってくると考えられます。
この項目では、従来にはなかったテレワーク環境下における人事評価制度や従業員の費用負担、人材育成についての説明が行われています。
テレワーク勤務では業務の結果だけに評価の目が向きがち(業務を達成するまでの過程が確認しづらい環境が形成されがち)となってしまうため、業務結果のみに偏重してしまう評価制度とならないように注意が必要といえます。
テレワークの場合にも従来と同様に労働基準関係法令が適用されますが、こちらの項目では、テレワークに係るルールを新たに就業規則に定めるとともに、企業内の全従業員に周知する・徹底してもらうことが必要であることが説明されています。
従業員によっては業務の関係上、テレワークを行うことが難しいというケースもあり、社内の中でテレワークを活用できる人・できない人が現れることもあります。そのような際にルールが明確に策定されていないと、トラブルが発生してしまいかねませんので事前の検討が必要だといえます。
従来の”職場で働く”という形態からテレワークへと移行するとなると、従業員は仕事とプライベートの時間が近接した状態となるため、従業員の労働時間に関しても柔軟に対応がとれるようにする体制を築く必要性が説明されています。
テレワークでは従業員の労働を直接確認することができません。そのため、テレワーク環境では労働時間の把握に関してより一層の工夫が必要となります。その工夫の方法としてIT技術やサービスを活用することが紹介されており、それらの活用が労務管理を適切に行えるようになると説明されています。
労働時間の管理はもちろん、先に触れたように仕事とプライベートの近接性を考えると、従業員の中抜け時間や長時間労働に対する対策も必要となります。
テレワーク環境では、運動不足に陥りやすい、仕事とプライベートが近いために1日の環境の変化が少なくなるなどの理由から、従業員が心身に支障をきたしてしまうことが多くなる傾向にあります。
また、チームメンバー同士の顔をお互いに窺える環境でなくなっているため、相手の状況を察することが難しく、これが誰かに相談することさえも難しくしてしまい、従業員を孤独に追い込んでしまうこともあります。
そして、これらを防止するために健康に関する相談窓口の整備やコミュニケーションの活性化のための工夫が必要になると説明されています。
こちらの項目では、テレワークにおける災害は労災保険給付対象となること、客観的な事実に基づく状況把握や従業員からの申告内容について記録を保存しておき、労働災害時における対応法を明確にしておくことの重要性が説明されています。
加えて、災害時の状況を使用者(従業員を監督する立場にある人・企業など)や医療関係者が把握できるように、労働の記録を行うことを従業員に周知する重要性に関しても触れられています。
従来の働き方でもハラスメントが問題視されていましたが、テレワークの環境下においても同様です。パワハラやセクハラ、更にテレワーク環境特有のハラスメントとして、在宅勤務の際のWeb会議などで上司が部下のプライベート空間に対して行き過ぎたコメントを行ってしまうリモハラ(リモートハラスメント)などがありますが、これらについて雇用管理上の措置を義務付けるとともに関係法に関しての従業員への周知、防止対策を講じることの重要性が説明されています。
テレワークという働き方では、従来の働き方で扱われていた企業の機密情報が企業内だけでの広がりから抜けて、企業外部で利用することも圧倒的に増えていきます。
情報セキュリティの在り方には、セキュリティを支えるための”技術”、技術を活用・ルールを策定する”人”、技術活用する人々を統制するための”ルール”の3つの要素を高めていくことが重要であるといわれており、総合的なセキュリティレベルの向上が必要であるといえます。
また、”人”の要素においては、企業方針と照らし合わせてセキュリティ方針を定める”経営者”、セキュリティ方針を技術を活用したりルールを策定し具体的な形に落とし込む”情報管理者”、定められたルールを理解するとともに徹底が求められる”テレワーク勤務者”のそれぞれが果たす役割も細分化されおり、更なるセキュリティリテラシーの向上が必要といえます。
今回の記事では、厚生労働省が改定したテレワークガイドラインの改定のポイントに関してご説明してきましたが、いかがだったでしょうか?
今後、益々テレワーク体制が普及するとともに、日常の中に溶け込んでいくようになると考えられますが、そのような際にも従業員の雇用状況が安全であるように、体制の改善など、企業努力を続けることが求められるといえます。
最後に触れたように、”技術”・”人”・”ルール”の3要素はセキュリティをはじめとして、テレワーク全般の改革に際して重要な要素であるといえます。これら3要素の向上は最終的に企業の成長につながっていくと期待できますので、この記事が、少しでもテレワークの導入・実施を検討している企業関係者のお力になれば幸いです。
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