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特集記事 2023.02.21
特集記事
2021.03.02
超少子高齢化社会が進む日本では、国が主導となり問題解決のために働き方改革を進めていますが、そのなかでも大きな効果を発揮するとされているのが、サテライトオフィスです。
サテライトオフィスには、都心型、郊外型、地方型と3つの種類があり、特に地方型においては働き方改革とともに地方創生にも効果があるとして注目されています。
しかし、企業としてどんなメリットがあるのか、いきなり地方にサテライトオフィスを設立するのは不安、という考えを持っている方も少なくありません。
そこでこの記事では、地方型サテライトオフィスのメリットと、総務省が取り組んでいる施策である「おためしサテライトオフィス」の実例をご紹介します。
地方型サテライトオフィスを検討しているという方は、是非参考にしてみて下さい。
地方型サテライトオフィスは、人口の少ない地方にサテライトオフィスを設立することを指します。
まずは、地方型サテライトオフィスのメリットをご紹介します。
地方創生とは、2014年に発表された政府の取り組みで、人口減少問題の克服と成長力の確保をビジョンに掲げ、以下のような基本目標を定めています。
2008年に始まった人口の減少は、今後加速的に進むと考えられていて、人口減少は地方から始まり都市部へ広がっていくとされています。
東京圏には過度に人口が集中していて、今後も地方の人口流出が続く可能性が高いことから、東京一極集中の是正を図るとともに、地域の特性に即した地域課題の解決が求められています。
サテライトオフィスを地方に設立することによって、基本目標を達成させることが可能になり、地方創生に大きく貢献することになります。
地方自治体では、サテライトオフィスの設立の際に使用できる補助金制度や、移住する際の補助金制度など、さまざまな制度を用意して企業誘致を図っています。
サテライトオフィスを地方に開設することによって、育児や介護など、家庭の事情により地方に住んでいる優秀な人材を雇用することができます。
また、都心部では人材獲得競争が激しく、優秀な人材の確保は難しい場合もありますが、地方ではそのような企業同士の競争が比較的少ないのもポイントです。
さらに、場所を選んで開設することによって、これまで働いていた優秀な人材の家庭の事情による退職も防ぐことができるので、企業にも社員にもメリットがあると言えます。
地方でのサテライトオフィスの開設は、社員の満足度向上にも大いに影響します。都会の満員電車での通勤にうんざりしているという方や、自然の多い場所で暮らしたいと願う社員の希望を叶えることに繋がり、自分の選んだ働き方を自由に選択できるようになります。
特に子育て中の社員は、地方で子育てをしたいと願う方も多いので、会社がサテライトオフィスを設置することが移住を考えるきっかけにもなり、結果的に社員の満足度向上が期待できます。
サテライトオフィスを地方に開設することで、これまでアプローチできていなかった地域での新規顧客開拓も可能になります。
さらに、サテライトオフィスを積極的に誘致している自治体において、サテライトオフィスがある企業同士の交流が盛んに行われている場所もあります。
そのような交流会などに積極的に参加することによって、企業同士の情報交換が可能となり、新たなビジネスチャンスが訪れることも考えられます。
BCP対策とは、企業が自然災害や火事、テロなどの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、事業の継続や早期復旧を可能にするための計画のことです。
緊急時にBCP対策がされている企業とされていない企業では、事業の継続や早期復旧を図ることに大きな差が出てしまいます。
地方にサテライトオフィスを設置することによって、本社がある地域で災害が起きたとしても、リスクを分散させることに繋がります。
このようにBCP対策を計画している企業は、顧客の信頼を維持しつつ、市場関係者からも高い評価を受けることに繋がり、企業価値の維持や向上が期待できます。
いざサテライトオフィスを地方に開設しようと考えたときに、どのような土地なのか、交通の便はどうなっているのか、社員の移住先はあるか、など確認すべきことは多数あります。
そこで、いきなり開設先を決めてしまうのではなく「おためしサテライトオフィス」を利用するという手があります。
おためしサテライトオフィスとは、総務省が実施している施策で、サテライトオフィス開設前に無料もしくは手ごろな値段で、気軽にサテライトオフィスの体験ができるという施設です。
ここからは、おためしサテライトオフィスの実施例をいくつかご紹介します。
九州のほぼ中央に位置し、宮崎県や鹿児島県と接する球磨と呼ばれる盆地の東側にある多良木町は、日本三大急流である球磨川が貫流していて、川と山に囲まれた自然豊かな土地です。
「多良木しごと創生支援住宅」の詳細は以下をご覧ください。
設備 | Wi-Fi、駐車場3台、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、キッチン設備、風呂、トイレ |
利用料金 | 1人1日あたり1,000円 利用者1人追加毎に1日あたり100円追加 |
多良木しごと創生支援住宅は、住居に事務所が併設されている施設で、移住や企業、サテライトオフィスの検討をしている方が利用できます。
住居兼オフィスとして使えるのが魅力で、光ブロードバンドサービスが設備されているため、通信環境も良いので都市部と変わらない環境で仕事をすることができます。
希望関連職種はIT関連企業となっていますが、IT関連企業以外でも利用を希望する方は多良木町役場 企画観光課まで連絡をしてみましょう。
都心からのアクセスも良く、自然も堪能できる場所として移住先で人気の長野県は、地元企業や大学、行政との協働の可能性や、ビジネスにもプライベートにも繋がるコミュニティが豊富です。
「Hana Lab」の詳細は以下をご覧ください。
設備 | Wi-Fi、シェア文房具、コピー機(白黒7円、カラー25円) |
利用料金 | フリー会員 15,000/月(個人) 20,000/月(法人) |
個ブース会員 30,000円~/月 | |
シェアオフィス 90,000円~/月 |
Hana Labには、フリーランスや個人事業主の多様な仕事スタイルに対応している「TOKIDA」と、コワーキングスペースと7部屋のシェアオフィスの集合体である「UNNO」があり、目的や人数に合わせて使用することができます。
セミナールームや応接スペース、会議室もあるので、大人数での会議やセミナーにも利用することができる場所です。
長野県初の日本最大規模のコワーキングスペースとして開設していて、フリーランスの方から会社員、行政など多種多様な方が利用しています。
事務所スペースや会議室、打ち合わせスペースを共有しながらも、独立した仕事を行うという協働ワークスタイルで、仕事場のほとんどを利用者で共有するので気軽に立ち寄ることができるのが魅力です。
「UNNO」では2階に託児所を設置しているので、1~3歳のお子さんを預けて働くことも可能です。1階は主に女性と社会をつなぎ、働く女性を応援する場所として、さまざまな女性が託児所を活用しながら利用しています。
「犀の角」から近隣のゲストハウスを探すことが可能なので、おためしサテライトオフィスをHana Labで行う場合は、ゲストハウスの予約も一緒にするのがおすすめです。
青森県の三戸町は人口1万人という小さな町ながら「教育の町」を掲げていて、小中一貫教育で、きめ細やかな教育の実施をすると共に基幹産業である農業の6次化や販路拡大に努めています。
「三戸町お試しサテライトオフィス」の詳細は以下をご覧ください。
設備 | オフィススペース+2LDK、Wi-Fi、駐車場3台、エアコン、ダイニングキッチン、ユニットバス等 |
利用料金 | 最大3ヵ月無料 |
一軒家を改修したオフィスなので、宿泊しなががら働くことができます。住宅地とともに田園が広がる清涼な自然を感じながら仕事に打ち込める環境です。
利用対象は三戸町以外に本社があり、サテライトオフィス、または起業を希望している方で寝具等は利用者が用意する必要があります。
東京からは東北新幹線で3時間と、アクセスも良いので東京に本社を構えている企業もサテライトオフィスとして設立しやすい場所となっています。
広島県は、平成30年度から「チャレンジ・里山ワーク」という事業を立ち上げていて、県内に企業のサテライトオフィス誘致を進める取り組みを支援しています。
「旧和木小学校」の詳細は以下をご覧ください。
設備 | オフィス家具、リフレッシュスペース |
利用料金 | 無料 |
旧和木小学校を改修して作られたオフィスで、施設の交流スペースは、建築家の隈研吾氏監修によるリノベーションが施された感性が刺激される空間になっています。
地元の交流拠点と併用することによって、さらに地域と企業がマッチングを図りやすい環境になります。
広島県では、各市区町村でおためしサテライトオフィスの見学や首長との面談、地域や地元企業との交流などの内容で、1泊2日のおためしモニターツアーの開催や、おためしサテライトオフィスでの勤務体験に取り組んでいます。
生活圏内には病院などの施設が充実していて、白竜湖は徒歩で行ける距離にあるので、湖畔の散策をするなど、充実したワークライフをおくることができます。
山岳地帯の奈良県南部と高原が広がる東部からなる奧大和は、広い面積に集落が点在しているのでのんびりと暮らせるような地域です。
奥大和地域にある5つのおためしサテライトオフィスは、さまざまなニーズに合わせたオフィスを提案し、それぞれのオフィスとの連携を強化することで地域と企業の新たなつながりを生み出します。
「オフィスキャンプ東吉野」の詳細は以下をご覧ください。
設備 | Wi-Fi環境、プリンタ複合機、キッチン、調理器具及び食器、お風呂、駐車場3台 |
利用料金 | 1日1人/500円 |
大阪から車で約1時間半の奈良県東部地域にある東吉野に、築70年の民家をリノベートしてできたオフィスキャンプ東吉野は、Wi-Fi環境やプリンタ複合機などの設備があり、さらにコーヒースタンドや展示室も用意しているシェアオフィスです。
営業時間は10時~17時、火曜、水曜は休業日となっていて、施設定員は10名です。近くには民宿が2件、宿泊施設が1件あるので、利用する際はそちらも併せて確認することをおすすめします。
地方型サテライトオフィスのメリットと、総務省が取り組んでいる施策である「おためしサテライトオフィス」の実例をご紹介しましたが、参考になりましたか?
地方型サテライトオフィスを設立することで、国の施策である地方創生に大きく貢献することができます。
地方創生に力を入れることによって、国の課題である人口減少や成長力の確保に貢献することができ、その成果は企業としての強みにもなります。
サテライトオフィスを設置する主な目的は「働く人の多様化に柔軟に対応するため」と言われていますが、もちろん社員にメリットがあるだけではなく、企業側にも大きなメリットがあります。
社員が自分の働き方を自分で選ぶことができる環境や、企業として実感できるさまざまなメリットを考慮して、サテライトオフィスを設置したいと考えている方は、是非おためしサテライトオフィスを利用してみて下さい。
この記事では、代表的なおためしサテライトオフィスをご紹介しましたが、今回ご紹介したのはほんの一部となります。各自治体が力を入れて取り組んでいる施策ということから、各地におためしサテライトオフィスは設置されています。
「総務省のおためしサテライトオフィス」を確認し、自社のニーズに合わせたサテライトオフィスの形状や場所を選び、まずはおためしでサテライトオフィスを経験してみましょう。
Thank You!!
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