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特集記事 2023.02.21
特集記事
2021.03.05
新型コロナウイルスの影響もあり、テレワークがさまざまな企業で取り組まれていますが、社員のなかには「自宅に家族がいて仕事ができない」「通信環境がない」という問題を抱えている方もいます。
このような問題を解決できるのは、本社から離れた場所に設置するサテライトオフィスです。サテライトとは、英語の「satellite(衛星)」からとった言葉で、本拠地のオフィスを中心として衛星のように設置されているオフィスを指します。
支社や支店と違い、小規模なオフィスであることや、働く人の働き方を重視するという目的で作られることが多く、都市型、郊外型、地方型と3つのタイプに分けられます。
近年注目されているサテライトオフィスですが、導入するには課題もあり、解決できないことから導入に踏み切れていない企業も少なくありません。
そこでこの記事では、サテライトオフィス導入を成功させる5つのポイントと、企業による成功事例をご紹介します。
サテライトオフィスを導入したいと考えている方は、是非参考にしてみて下さい。
サテライトオフィス設立は、企業にとっても従業員にとってもメリットが多くありますが、導入にあたって以下のようなデメリットも生じます。
このような問題を解決しつつ、サテライトオフィス導入を成功させるにはいくつかポイントがあるので詳しくご説明していきます。
社内で顔を合わせて仕事をする機会が減ってしまうことによって、今まで行っていたようなコミュニケーションが取れなくなり、業務に影響するということが予想されます。
そのような事態を防ぐためには、オンラインミーティングを頻繁に行うことが重要です。オンラインミーティングを行うことで、離れた場所にいてもチームの中で仕事をしているという意識をしっかり持つことができます。
ミーティングは実施回数を増やすというだけではなく、目的を持って毎回ゴールを設定するということも重要です。ゴールのないミーティングでは意味のない時間になってしまうので、課題に対する解決策を決めるところまでをゴールとし、オンラインミーティングを行うようにしましょう。
コミュニケーション不足を解消するためには、オンラインミーティングだけではなくオンラインチャットの利用も効果的です。
題名などをその都度打ち込むようなメール形式ではなく、オンラインチャットなら手軽にコミュニケーションを取ることができます。
チームごとにチャットグループを作ることによって、すぐにコミュニケーションを取れる状況になり、サテライトオフィスの社員も本社の社員も同じように情報をリアルタイムで共有することができます。
サテライトオフィスの設置にあたり問題となることの一つに「自己管理」が含まれます。上司の目がない場所での仕事となるので、人によっては勤怠に影響するということも考えられます。
そのような事態を防ぐためには、勤怠管理のできるツールなどを利用するのも一つの手です。社員の勤怠を監視できるシステムや、始業、終業の打刻など、ツールを使うことで管理ができるようになります。
一方で、自由度をあまりにも取り上げてしまい、監視メインになるようなシステムだと、社員が自発的に働くという意思を削ぐ結果になる可能性もあるので、導入する際には注意が必要です。
サテライトオフィスを新しく設置する際には、本社や支社と同じようなネットワーク環境を整える必要があります。
共有Wi-Fiや個人のWi-Fiではパソコンを繋がないようにする、パソコンやタブレットを支給するなど、セキュリティ対策に力を入れる必要があります。
共有サテライトオフィスではセキュリティ管理に関する意識をさらに高める必要があり、パソコンやタブレットなどの盗難などには十分注意することが重要です。
サテライトオフィスは、社員の働き方をより良くするために導入するものなので、アクセスが悪い場所では社員の足も遠のいてしまいます。
本社が遠く通勤に時間がかかる、外回りが多く移動時間がかかるなどの問題を解決できるのがサテライトオフィスです。
社員の自宅や営業先を考慮した場所で、アクセスの良さを考えてサテライトオフィスを設置する必要があります。
実際にサテライトオフィス導入し、成功している企業はどのような企業なのでしょうか?
ここからは、サテライトオフィスの成功事例をご紹介します。
熊本電力株式会社では、熊本県の芦北町にある「芦北サテライトオフィス計石」にてサテライトオフィスを開設しています。
芦北サテライトオフィス計石は、廃校になった小学校をサテライトオフィスとして利用している施設で、熊本電力株式会社の他にも、東京に本社を持つ2社がサテライトオフィスを開設しています。
熊本電力は、2014年に設立され、2017年より電力小売り事業に参入した新しい企業で、他の電力会社に比べて安く電力を供給するというのが強みです。
安く電力を供給できる理由は、自社開発システムによる顧客管理で固定費を抑えたり、業務プロセスの効率化が図れていることにあります。
芦北サテライトオフィス計石は、廃校になった小学校ということで、校舎1階の広い面積を使ったコンピューティングファームや、コンピューティングリソースを高いレベルで供給することが可能です。
さらにこのオフィスの最大の魅力は、校庭の先に広がる海を眺めながら仕事をできるというポイントにあります。都会ではなかなか見られないロケーションによって、従業員のモチベーションはさらにアップします。
芦北サテライトオフィス計石では、熊本県の補助金と併用できる芦北町独自のサポート制度も充実していて、通信回線や設備などの資金援助や環境作りを町がサポートし、サテライトオフィス導入を成功に導いてくれます。
富士通株式会社では働き方改革に注力しており、2017年4月よりテレワーク制度を導入しています。
さらに、東京・汐留本社を始めとする主要な事業所に、社内サテライトオフィス「F3rd(エフサード)」の設置や、社外のサテライトオフィス「F3rd+(エフサードプラス)」の活用推進を進めています。
テレワーク制度を導入してから、本格的にテレワークをする社員が増え、出張先からでも仕事ができる場所がほしいという社員の要望に応える形でサテライトオフィスの導入が進められました。
通常のオフィスとの差別化を図るために、サテライトオフィスは対向島型のデスク配置にしたり、休憩スペースを設けたりと、デザインにもこだわっているオフィスとなっています。
好きな場所で働いてもいいという意識を社員が持つことによって、働き方の意識を変えることに繋がり、生産性も上がっているといいます。
富士通株式会社では、今後も社員の意見を取り入れながら、より利便性に優れたワークスペースの提供を進めていく予定です。
株式会社あしたのチームは、東京の銀座に本社を持つ、人事評価制度の構築や支援サービス、人材紹介サービスなどを展開する会社で、2013年に徳島県三好市にサテライトオフィスを開設しています。
クラウドサービスの活用により、インターネット環境一つで遠隔地でも都市部と同等の仕事をすることが可能で、オペレーション業務をサテライトオフィスに集中させ、本社では営業活動を中心に行っているそうです。
さらに株式会社あしたのチームのサテライトオフィスでは、すべて地元で人員を採用して育成しているというのが特徴的で、地方での雇用を創出して地方創生に貢献したことで、県から表彰されたこともあります。
地域社会への貢献活動などで注目されたことで、さまざまなメディアで取り上げられたことにより、企業イメージのアップにも繋がり、結果として企業の㏚にも繋がったという経緯もあります。
今後は47都道府県に拠点を展開し、100%地元雇用を目指して採用活動をしていく予定です。
日立製作所では、2016年から「多様な人材が多様な価値観を持って、生き生きと働き、大きな成果を挙げる」をコンセプトとして、働き方改革を推進しています。
2016年以降は、IT環境を整え、社員にSkype用のヘッドセットやマイクスピーカー、プレゼンのための液晶ディスプレイなどを配布し、会議のオンライン化やペーパーレスを通じて、どこでも仕事ができる環境を整えています。
1999年に制定されたテレワーク制度に関しては、限られた人だけが利用をしていました。その当初に比べて、現在利用する社員は全体の7割にのぼり、自由度の高い仕事の仕方を選択できる環境にあります。
2019年にはサテライトオフィスが計64点となり、拠点を増やすごとに利用者は増え、日立グループ全体で月間5~6万人が利用しているといいます。
オフィスと同等のセキュリティ環境や、パソコンの完備によって、社員が手ぶらで訪れても仕事をすることができる環境が整えられていて、自宅近くのサテライトオフィスを増やすために、社員の通勤ルートを考慮した設置を進めています。
利用者は、通勤時間や移動時間の短縮効果を実感していて、空いた時間を仕事に有効活用したり、趣味の時間に費やしたりということが可能になったという声が多いそうです。
社員が仕事に対してやりがいを感じたり、ワークライフバランスを取りやすくなったという声もあり、一定の評価ができる状況にあると言えます。
りそな銀行では、一部支店の遊休スペースを利用して、長距離通勤者などが活用できるサテライトオフィスを開設しました。
本店や自分か勤務している支店まで出勤せずに、自宅近くの支店内で仕事ができるという仕組みです。
育児中や介護中の社員が活用することを想定した働き方改革の一環で、東京、大阪、埼玉で計11支店のサテライトオフィスが設置されています。
銀行は各地に支店を設けていて、その支店は顧客との重要な接点となりますが、近年マイナス金利政策など超低金利状態が続いていることで、収益力が低下しています。
さらに、デジタル化が進んでいることによって、来店利用の顧客は減少傾向となっていることも重なり、支店の維持コストの最小化が問題となっています。
りそな銀行では、そんな銀行の課題、働き方改革の推進を一挙両得に行える施策として、支店の空いたスペースをサテライトオフィス化することを考案しました。
支店の事務削減や本部への機能集約によって生まれたスペースを活用していて、本店に通勤するよりも通勤時間が短縮できるので、業務に集中できて残業も減ったという声もあります。
今後、新型コロナウイルスの感染拡大対策として、さらにサテライトオフィスとして対応できるスペースを増加させてテレワークとともに活用を続ける予定で、合計55カ所にまで取り組みは広がっています。
サテライトオフィス導入を成功させる5つのポイントと、企業による成功事例をご紹介しましたが、参考になりましたか?
サテライトオフィス設置には懸念される事項もありますが、ポイントを抑えて課題を解決する施策を打つことによって、サテライトオフィス導入を成功に導くことが可能です。社員の状況を踏まえたサテライトオフィスの設置場所を考えることや、セキュリティ対策を行うことで、失敗することなくサテライトオフィスを設立することができます。
サテライトオフィスは、社員にとって多様な働き方を実現できる場所となり、仕事に対する取り組み方や意識の向上に繋がります。社員にとっても、企業にとってもメリットを感じることができるサテライトオフィスは、自治体によってさまざまな補助金制度を利用できるのも魅力です。
資金不足を理由にサテライトオフィスの導入を諦めてしまっている企業は、一度興味のある都道府県のホームページを確認してみて下さい。都道府県ごと、市区町村ごとに、さまざまな取り組みが行われているので、会社とマッチする場所がきっと見つかります。
固定的なオフィスに縛られずに自由に働ける環境を築くことで社員のワークライフバランスが改善され、結果的に仕事にも良い影響を現れてくるでしょう。
サテライトオフィスの導入を検討しているという方は、当サイトの記事を参考に情報を収集しつつ、自社にあったサテライトオフィス導入方法を是非検討してみて下さい。
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