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特集記事 2023.02.21
特集記事
2021.03.01
このところよく耳にするようになった「企業誘致」という言葉ですが、なんとなく意味はわかっていても、具体的な内容がわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
企業誘致とは、言葉の通り企業(会社)を誘致(招き寄せる)ことで、企業を地方都市に呼び寄せることを指しています。企業誘致を行うことで、地方都市は多くのメリットを得ることができます。
メリットを得ることができるのは地方都市だけではありません。地方に進出する企業にも数多くのメリットがもたらされます。
この記事では、企業誘致とはどのようなものなのかを詳しく解説していきます。
地方自治体や政府が積極的に取り組んでいる企業誘致の施策に興味がある方や、地方への進出を考えている会社経営者はぜひ参考にしてみてください。
「地方自治体は一体どのようなことを考えて、何をしているのか?」
それを知ることで、よりよい地方進出に活かすことができるはずです。
企業誘致とは、地方創生という大きな取り組みの目玉とも言えるものです。
地方創生とは「少子高齢化に伴う人口減少に歯止めをかけ、東京圏に集中してしまっている人口を地方にも分散させ、日本全体を盛り上げていこう」として政府一体となって進められている大きな取り組みのことで、「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」とも呼ばれています。
人口流出によって働き手や地方都市の将来を担う若者がいなくなってしまい、活気がなくなった地方に活力を取り戻すためにさまざまな施策が行われています。
企業誘致は地方都市に企業を誘致することで、地方都市を活気づけることを目的としています。企業を地方に誘致し、雇用が生まれればそれに伴って多くの効果がもたらされます。
これまでも積極的に進められてきた企業誘致ですが、政府のバックアップ体制は近年さらに強くなってきています。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が収束した後の世界のことを見据えて、企業誘致に力を注ぐ地方自治体も増えています。
では、地方都市に企業を誘致すると、どのような効果があるでしょうか。ここからは、地方都市が企業を誘致するメリットとなる企業誘致の効果について詳しくご紹介していきます。
企業誘致によって企業が地方都市に進出することで、地元で新たな雇用が生まれるポジティブな効果に期待することができます。
地元で暮らしている人を社員として迎え入れる企業や、アルバイトやパートという形での雇用が生まれる効果もあるでしょう。
何もなかったところに新しい企業ができれば、そこには通勤などによって新しい人の流れができます。大きな企業を誘致すれば、その分人の流れも大きなものとなるはずです。
地方に進出した企業が魅力的な企業であれば人口流出に歯止めをかける効果も期待でき、さらに、都会へ出てしまった地元の人間が再び故郷へ戻ってくるUターンも見込めます。
企業が地方へ進出することで、企業で働く人はその地域で暮らすこととなります。
仕事をしていればお昼ご飯、夜ご飯と食事をする必要がありますから、それに合わせて飲食店ができたり、飲食店の食材を買うためのスーパーマーケットができたりして、企業の周辺がどんどん活気づいていきます。
小さな企業でも変化はありますが、それが大きな企業の100人が働くオフィスだった場合、どんな変化があるでしょうか?100人の人が一気に増えるというのは非常に大きな変化です。
変化に対応するために二次的な仕事をする企業が増加し、物流の流れが生まれるでしょう。また、外部からだけではなく地元の運送業者や原材料業者、広告業者にも新たな需要が生まれ、地方全体の経済を活性化させる効果が期待できます。
現在、日本経済全体が停滞していると言われており、このような状況では地方都市も国からの援助を当てにすることができない状態です。
地域経済を活性化させるためにはただ手をこまねいているだけでなく、自らアクションを起こす必要があります。自らの力で稼ぐ力のある地方都市になるための足がかりとなるのが企業誘致なのです。
企業誘致の目的としては税収の増加も大きな目的の一つではありますが、単に進出企業が税金を落とすだけでなく、進出企業と地場企業が手を取り合うことで新しいビジネスモデルが生まれるなど、多くの可能性を秘めています。
事業内容にもよりますが、一つの企業が単独ですべての業務を行えるという事業はほとんどありません。
環境を整備したり、各種部品を調達したり、その後も運搬や流通など、事業を展開していく中で地場企業との関わりやコミュニケーションも多くなるでしょう。
そうして事業を行っていけば、今までは気づかなかった新しいニーズを発見できるかもしれません。見つけた新しいビジネスチャンスを地場企業と進出企業が連携して行うプロジェクトを立ち上げ、それが話題になればまた次の事業を呼び込むことにもつながります。
始めは小さな一歩でも、水の波紋のようにそれが広がっていけば、やがて大きなものとなるでしょう。
企業が進出するためには、オフィスや工場などの場所が必要です。その建設作業などを地元の機械製造業者や建設業者が行うことで、地域経済が活性化される効果もあります。
進出してくる企業の規模が大きければ大きほど、設備投資の規模も大きくなるでしょう。進出を決めた段階で企業は地方都市に貢献していることにもなるのです。
ただ単に「働く場所を変えた」「自然あふれる環境で仕事ができるようになった」というだけでなく、自分たちが暮らし、働いていくことになる地方都市を支え、盛り上げていくというのは仕事のやりがいにもつながります。
地元を盛り上げるような急成長する事業を新しく始めたいと思っても、それを地方自治体や地場企業だけで行うというのは簡単なことではありません。
しかし、そこで企業誘致によって新しい風が吹き込めば、未来を見据えた新しい産業が形成できるようになるかもしれません。
地場企業は地域に根づいたあたたかみが魅力ですが、客観的な視点を持って地元を見ることは難しく、新たな発見はしにくくなります。
都会から進出してきた企業の場合、客観的な視点で地方をとらえ、その土地ならではの地域資源や魅力、ニーズ、問題点や改善点などさまざまなポイントを見出すことができます。
その地域が抱えている課題についても、解決策やその糸口となるアイデアを見つけられる可能性もあるでしょう。
進出企業による新たな視点と活力、地場企業の持ちつ信頼と実績の的確なマッチングが行われれば、未来を見据えた持続性のある発展可能な産業の形成も不可能ではないはずです。
上記でご紹介したように企業誘致は数多くのポジティブな効果をもたらしてくれるものですが、課題もあります。
地方創生の強化策として国は平成30年度税制改正を行い、小規模オフィスの移転・拡充などを対象にサポートを行っています。また、移転型事業の対象地域を追加したり、要件を緩和したりなど、企業誘致の課題を解決するための取り組みもいくつも行われています。
国内市場が縮小する中で、海外に進出する際の利便性を重視している企業も少なくありません。交通網などの整備は地方が抱えている大きな弱点であり、それらの整備がポイントとなるケースもあります。
企業によっても業種や事業内容はさまざまなため一概にはいえませんが、誘致企業が快適に働ける環境を作ることは重要な課題です。
企業誘致に成功したケースとして知られるのが、情報インフラの整備によってサテライトオフィスを誘致したケースです。IT企業は働く場所を選ばず、インターネット回線とパソコンがあればどこでも仕事できるのが強み。
リモートワークやテレワークが当たり前になった現代では、地方に本社機能を移転するIT企業や、サテライトオフィスをつくる企業も増えています。
地方自治体は、進出企業の弱みを補えるようなさまざまな取り組みを行っています。地方進出を考える企業はそこに目を向け、自社のニーズと合致するか確かめてみるのもいいでしょう。
企業誘致は日本全国各地で行われていますが、すべて成功しているわけではなく、失敗してしまったケースもあります。
場所を整備したにもかかわらずテナントが埋まらないことや、事業の悪化によって撤退を余儀なくされるといったリスクも十分に考えられます。
このような状況を回避するためには、進出企業の戦略と、地域の戦略の方向性が合致していることが重要となります。
あらかじめ十分な時間をかけてすり合わせを行っておくことで、地域は企業を最適なタイミングでフォローすることができるでしょう。
地域と企業が手を取り合うことで相乗効果が生まれ、お互いに長期的な利益を得られる企業誘致の実現を目指していくことが大事です。
地方自治体は雇用の創出、税収の確保、地場企業への受発注機会の拡大、交流人口の拡大などの効果を期待して企業誘致を積極的に行っています。
一般財団法人日本立地センターの「企業誘致及び産業振興に関するアンケート調査結果」によれば、企業誘致のために取り組んでいる内容としては下記のように「工場跡地・遊休地、空き工場等の情報収集・提供」が上位を占めています。
【企業誘致のために取り組んでいる内容】(平成28年度)
各自治体によっても取り組みや戦略は異なるため、自社の事業とマッチする取り組みを実施している自治体や地域を選ぶことで有利に進出を行えるでしょう。
では、企業誘致で地方へ進出した企業はどのような働き方をしているのでしょうか。
企業誘致のあり方は多様化しており、企業によっても地方進出の形は異なっています。
2020年9月には、人材派遣大手のパソナグループが発表した本社機能の一部移転が大きな話題になりました。
兵庫県淡路島への移転で、1200人という本社の約4分の1の従業員を2024年までに段階的に移す計画となっているようです。
東京都23区から本社機能を地方に移転する場合に雇用促進や建物を取得する費用が現在となる「地方拠点強化税制」は、2020年度の税制改正で制度の適用期限が2022年3月31日まで延長となっており、コロナ禍が追い風となったことでこの制度を活用する企業が増加しています。
本社から離れた場所に設置するサテライトオフィスを地方に構える企業が増えてきています。
すでにあるコワーキングスペースや公共施設を利用するケースのほか、古民家や廃校、商店街を借りてオフィスにリノベーションを行うなど、オフィスの形も企業によってさまざまです。
サテライトオフィスの開設数は年々増加しており、総務省が発表した「地方公共団体が誘致又は関与したサテライトオフィスの開設状況調査結果」によれば、平成25年度には開設数が28件であったのが、平成30年度には151件になるなど、多くの企業がサテライトオフィスを開設しています。
コロナ禍、そしてポストコロナへ向けた新しい働き方として、ワーケーションも注目されています。
リゾートなど普段とは違った環境で仕事をしながら休暇を取るというワーケーションは時間や場所に縛られない柔軟な働き方です。
企業にとっては従業員の満足度向上、採用力の強化などのメリットがあり、働く人にもワークライフバランスが改善されるというメリットがあります。
企業誘致について詳しく解説しましたがいかがでしたでしょうか?
現在、コロナ収束後を見据えて企業誘致に注力している地方自治体は増えてきています。
通信環境だけではなく、交通面の整備など企業が快適に進出できる環境を用意して、積極的な企業誘致を行っています。
その土地ならではの特色を活かした独自性の高い施策を行う地方自治体も多いため、自社にマッチする進出先を探すことでより有利な進出を行うことができるでしょう。
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