Interview
進出企業インタビュー
地方で起こすイノベーション。ITを手段として使いこなせる地域づくりを目指して
株式会社MARUKU 代表取締役 小山 光由樹
大学卒業後、総合広告代理店に就職した後、マス広告、Web広告分野で情報コミュニケーション事業に従事。その後、単身海外に拠点をおく。世界から多くの人が集まるカナダを舞台に、日系企業と共同でイベントを企画。
ソーシャルネットワークを活かした集客方法で、多くの人たちに支持された。この成功体験が人生の転換期となる。帰国後、前職のアライドアーキテクツ社で国内のソーシャルネットワーク事業に従事。その後、渋谷を拠点に複数社起業。
2017年MARUKU設立。
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山間部の過疎地域から全国へ「デジタルによる新体験」を届ける
いま、日本が国をあげて推進する地方創生。日本全体を盛り上げるための取り組みが各地で進められるなか、新しい形の地方創生ビジネスをつくることを目指し、熊本県の山都町に設立されたのが株式会社MARUKUです。
WEBサイト制作のコンサルティング・構築事業と地方創生という大きな2つの事業を柱に、山間部の過疎地域にあるオフィスからの『デジタルによる新体験の創出』を掲げる小山光由樹代表に事業、そして熊本進出で得たものについて話を聞きました。
──事業について教えてください。
企業・自治体向けのWEBサイト制作のコンサルティング・構築事業・アプリの開発と、地方創生事業。株式会社MARUKUでは大きく、この2つの事業をおこなっています。
現在は山都町を本社として、支社を八代市と東京の五反田に構え、3つの拠点を中心にビジネスを展開しています。
──地方創生事業はどのような内容ですか?
地方創生のICTサービスと、DX推進のコンサルティング事業。それと、熊本県と連携して県外企業の誘致を推進する、企業誘致事業です。
また、熊本県の芦北町、山都町では廃校をサテライトオフィス・コワーキングスペースとして利活用するという取り組みをおこなっています。 -
デジタルが普及していない地域だからこそ、チャレンジする意味がある
──熊本県進出の背景を教えてください。
2016年夏に山都町の老舗酒蔵の担当の方と出会ったことがきっかけです。
酒蔵の社長や担当者の方の「デジタルが普及していない地域だからこそ、チャレンジしていく意味がある。デジタルで成功事例をつくり、全国の人から応援される取り組みをしていきたい」という想いに共感し設立を決めました。
また、当時は熊本地震から半年経っていましたが復興が進まず、過疎地域ということもあってチャレンジすることを諦めている人も多く、町全体がとてもネガティブな状態でした。
視察でこのような現状を目の当たりにしたことで「過疎・高齢化の地域でも、働き続けられることを実際に実証したい。チャレンジしながら働けることを全国に発信したい」と、熊本に進出する動機が心の中で芽生えました。
──進出当時の心境は?
設立当初から熊本県と接点があったわけではなく、無名のベンチャーとして始めました。認知・信頼がなかったため、人材の確保に苦労しましたね。
オフィス物件・住居物件の確保や冬の寒さなどの苦労もありましたが、多くの地域住民の方々に支えていただいたおかげで、厳しい冬を越すことができました。 -
地方はDX化によって世界へ事業拡張できる可能性を秘めている
──熊本進出の不安は?
雇用と、IT関連の地域での理解レベルについてです。IT環境が地域に根付いておらず、啓蒙・啓発には時間がかかると感じていました。
──熊本進出にはどのような期待がありましたか?
地域課題が多く、DX化を進めることで事業の幅が広がり、拡張できる可能性を地方は秘めています。全国や世界に事業拡張するためのヒントもあります。
また、地方でこのような取り組みを行うことはその地域の話題性も高めることになり、認知度も向上するため人とお金の流れが生まれ、地域の活性につながると考えていました。
──熊本での事業について教えてください。
労働生産性と生活の利便性の向上を目的に、今2つの事業を進めています。1つめが『mawaru』というサービスで、観光周遊およびデジタルチェックインができるものです。
もう1つは『Asuno Meals』という、テイクアウトデリバリーのサービスです。これはアプリの設計から開発までできる進出企業と連携し、開発とオペレーションの強化を進めています。また、サービスを拡張していくために地元企業とも連携しています。 -
時代の流れとともに、地方でイノベーションを起こせる環境が整った
──進出後の感想を教えてください。
期待通りでした。不安についてはまだ払拭できていませんが、チャレンジするときというのはやっぱり不安はつきもの。これは実際に進めていきながら少しずつ払拭していくつもりです。
また、進出前と今を比べれば格段にその不安は払拭できています。引き続き地域と向き合って、ITを手段として使いこなせる地域づくりを目指していきたいですね。
──進出で感じたメリットや、今後について教えてください。
2017年の進出当初と比べると、熊本に大きな変革の波が来ていると思います。企業集積が進み、地方DXの流れも生まれています。
弊社は自社サービス開発と同時並行で熊本県への企業誘致を推進してきましたが、時代の流れとともに、地方でイノベーションを起こせる環境が整ったという印象です。今後は、この取り組みををさらにスケールさせていきたいと考えています。
──最後に一言お願いします。
まずは熊本を知っていただき、可能性を感じてください。熊本でお待ちしております。
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