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特集記事 2023.02.21
特集記事
2021.03.13
アフターコロナにおいてさまざまな働き方改革が進む中、高層ビルに囲まれた大都会から山林に囲まれた大自然のある地方へ本社機能の移転を計画している企業が増えています。
テレワークが主流になりオフィスを持たない企業が珍しくない時代となりましたが、テレワーク導入後に「働く場所を問わないなら税金対策も兼ねて地方に本社を移転した方がいいのでは?」と考える経営者もいるでしょう。
しかし、企業には経営の土台を支える従業員がおり、全ての従業員が地方移住に対してポジティブなイメージをもっているわけではありません。
そこでこの記事では、企業の地方移転において従業員が求める9つの理想を詳しくご紹介していきます。
企業の成長に全力を注いでくれた従業員と共に地方での事業を成功させるために、どのような準備が必要になってくるのかを是非参考にしてみてください。
新型コロナウイルスが蔓延したことによって、多くの企業がテレワークを導入したりオフィスを移転したりさまざまな働き方改革を行ってきました。
その働き方改革の選択肢のひとつとして挙げられるのが、本社機能を地方に移転する、つまり地方で本社を持つというものです。
昨今における日本は少子高齢化問題が年々深刻化しており、地方では若者が都会に出てしまう人口流出や雇用減少などの問題を多く抱えています。
地方に企業が進出することで新たな雇用創出に繋がるだけではなく、事業による地域社会への貢献と地域活性化に繋がるという大きなメリットが生まれ、進出企業も優遇税制を活用した税金対策ができるという側面があります。
経営者は、地方移転後に従業員が充実したライフスタイルを築くことができるかどうかを気にかけることでしょう。
大都市圏で充実した暮らしを築けている従業員ほど地方移住に対してネガティブなイメージを持っており、子供がいる従業員は家族全員が新生活を受け入れる覚悟が必要となってきます。
企業に属する従業員は地方移転に対してどのような理想を求めているのかをご紹介してきます。
ITを駆使したマーケティングリサーチ企業を傘下に置く「株式会社クロス・マーケティンググループ」は、企業に属する日本全国の20歳〜69歳の男女を対象とした「郊外・地方移転への意識に関する調査」を実施し、その結果を公開しています。
地方移転に伴う転勤を命じられた場合、従業員は「受け入れるのか」「受け入れられないのか」という意識調査結果がこちらとなります。
単一回答 | 割合 |
---|---|
受け入れる | 50.9% |
受け入れられない | 49.1% |
約半数が住み慣れた場所を離れて新生活を始めることに賛成していますが、企業の経営者にとっては半数の従業員の支持を得られていないという点は大きな懸念となります。
出典元:郊外・地方移転への意識に関する調査(株式会社クロス・マーケティング)
では、従業員は地方移住後にどのような生活を理想としているのか?
地方移住した場合に従業員が「期待すること」についてクロス・マーケティングが調査した結果がこちらとなります。
期待すること | 割合(複数回答) |
---|---|
物価・家賃が安い | 47.4% |
自然に親しめる | 39.6% |
健康的な暮らしをおくれる | 34.1% |
食べ物・水・空気がおいしい | 30.6% |
スローライフを満喫できる | 29.6% |
住環境が広くなる | 24.1% |
コロナ対策ができる | 17.0% |
子育て環境が整っている | 13.5% |
地域活性化に貢献できる | 12.9% |
最も多く回答されたのが、地方の物価の安さや家賃の安さに期待しているというものです。
都会の企業で働く会社員は高い家賃を支払って暮らしており、家賃以外にも駐車場代、交通費、さまざまな生活費などの物価を気にしている方が多いようです。
地方における家賃の安さは従業員だけにもたらされるメリットではなく、地方で新たなオフィスを構える場合にも大きな恩恵を受けられるようになっています。
都会で毎日仕事に汗を流す会社員は、都会の喧騒に疲れて「自然のある地方で静かに暮らしたい」と思うこともあるでしょう。
アフターコロナでは外出自粛によって自宅に長時間留まる機会が多くなり、里帰りすることができなくなった人も多く見受けられます。
都会のコンクリートジャングルでは味わうことができない「緑豊かな大自然に囲まれた地方で働く」ということに憧れを持っている人は、企業の地方移転に伴う地方移住にも積極的になることでしょう。
地方での暮らしは毎朝満員電車に揺られることもなく、渋滞や人混みに巻き込まれる心配もありません。
都会ならではのストレスから解放されることで精神的なゆとりができ、健康的な暮らしをおくることができます。
また、都会ではなかなか築くことができない近隣住民との人間関係も心をより豊かにする要因となります。 リモートワークの定着は会社員にとって良い方向に進むこともあれば悪い方向に進むこともあり「人と触れ合う機会が減少して欝気味になってしまった」「仕事に対するモチベーションが低下してしまった」というケースも少なくありません。
地方での人と人との触れ合いがある健康的な暮らしは、企業に長く貢献できる人材の創出にも繋がり、地方移転をするひとつのメリットといえます。
人生において「食」に強いこだわりを持つ人は多く、「新鮮な野菜や郷土料理をお腹いっぱい食べてみたい!」という願望を持っている方もいるでしょう。
その願望を地方移住で叶えることができます。 例えば、熊本県であれば郷土料理の代表でもある新鮮な馬刺しや辛子蓮根などに加えて、都会ではなかなか食べることができないガラカブの刺し身や鮎の姿寿司などを堪能することができます。
そして何より、都会からほど遠い大自然に恵まれた地方の水や空気のおいしさは格別です。
豊かな自然の恵みであるおいしい湧水や新鮮な空気をいつでも味わえるのは地方ならではの強みであり、魅力を感じている会社員も多いようです。
大都市圏では嫌でも他人の行動が目に入り、忙しい日々をおくっている方も多いのではないでしょうか?
山林に囲まれたような地方では視界の大部分を自然が占め、他人の目を気にせず気ままに過ごすことができます。 都会に暮らす会社員でスローライフに憧れている人は、いつどのタイミングで地方移住をするか悩むでしょうが、会社の方針によって本社の地方移転が決まり、それに伴い地方移住を命じられたとなれば喜んで賛成するでしょう。
しかし、全ての会社員がスローライフに憧れを持っているわけではないことも理解しておかなければなりません。 経営者は都会ならでの楽しみに代わるものが存在する移転先を見つけることも従業員の離職対策となります。
都会での暮らしは最寄り駅周辺や職場の周辺を中心に活動することがどうしても多くなりますが、地方では住環境がかなり広くなります。
例えば、スーパーに食材を買い出しに行くにしても車移動が必要になることもあり、衣食住を取り巻く環境が劇的に変化します。
「何でも身近に整っている都会の環境の方が好き」という方も少なくありませんが、地方では家賃や地代が安くなる分、都会よりも広々とした家や庭を持つことも可能になります。
住環境が広くなることでペットを飼ったり家庭菜園をしてみたり、都会では難しかったたくさんの体験をすることができるようになります。
全世界を恐怖に陥れた新型コロナウイルスは、2021年も感染と感染拡大に警戒しなければなりません。
国内でも新型コロナワクチンの接種が開始されましたが、まずは医療従事者から、そして次に高齢者という優先順位で実施されていく方針に固められています。
数百人〜千人という規模で感染者を出した地域では、コロナ対策なしでは安心して生活することができない状況でしたが、地方移住することでコロナのストレスから解放されます。
もちろん地方でもコロナ対策は必須となりますが、ソーシャルディスタンスを気にしたり人混みができる場所を意識的に避けたりするなど神経を使う機会は激減することでしょう。
企業にとってもコロナ感染者を出してしまうことで経営に大きな支障が出てしまうこともあり、本社の地方移転で万全のコロナ対策を打つというのは有効な手段といえます。
少子高齢化に伴い、人口減少の歯止めを目的とした出生率の増加を促進する施策を行っている地方が増えています。
自然が豊かで子供が健やかに育つ環境が整っている地方は多く、教育や医療に関するさまざまな子育て支援が設けられている地域も多く存在します。
例えば、熊本県球磨郡にある水上村では、特殊出生率を2020年から5年にわたり年間200人を維持する目標を掲げ「水上村に住所がある18歳以下の子供の医療費が無料」「妻が43歳未満の場合、不妊治療費が最大30万円まで補助される」などの子育て支援が充実しています。
子供を持つ従業員を多く抱えている場合、子育て環境が整っているかどうかは移転先を決める上でとても重要な要因となり、経営者は大切な従業員の離職を防止するために移転先の子育て環境や自治体による支援を把握しておく必要があります。
たくさんのモノで溢れかえっている都会にはさまざまな分野のコミュニティが築かれていますが、地方でも歴史のある地域コミュニティや商店街がたくさん存在しています。
歴史ある文化を守り繁栄させるため、地域住民、地元企業、自治体などが一丸となって地域活性化に力を注いでいますが、地方移住後に力を貸したいと考えている方も多いようです。
事業によって地域の雇用創出や地域社会に貢献することも可能ですが、個人レベルでも地域おこしに協力してその肌で地方ならでの文化に直接触れることもできます。
都会にはない貴重な体験の数々は人生の財産となり、その地域をより愛することができるでしょう。
企業に属する会社員が地方移転に対してどのような暮らしを理想としているか理解していただけたと思います。
最後に、東京から本社機能を地方へ移転することを検討されている方に知っていただきたい「地方拠点強化税制」の2つの支援をご紹介します。
出典元:令和2年度税制改正により、地方拠点強化税制はさらに使いやすくなります!(内閣府地方創生推進事務局)
地方移転において、新たな活動拠点で如何に雇用を創出するかは大きなテーマとなります。 その雇用創出に対する支援となるのが「雇用促進税制」です。
雇用促進税制は、地方の移転先で獲得した正規雇用、または地方へ転勤した従業員の増加数に応じて税額免除を受けられるというものです。
東京から地方移転をした場合、初年度に一人当たり最大90万円の税額控除を受けることができます。
令和4年3月末まで適用される制度であり、最大一人170万円まで税額控除の対象となります。
地方移転において、新たな拠点に本社機能を有する建物を新設、または増設する場合、建物の取得価額に応じた特別償却・税額控除を受けることができます。
東京23区から地方移転をした場合、25%の特別償却、または7%の税額控除が適用可能となります。
※事務所・研究所・研修所が対象 ※店舗・工場は対象外
※製造部門・営業など特定部門の事務所は対象外
この施策は当初令和2年3月末までの適用期限となっていましたが、令和2年度の税制改正によって「令和4年3月末まで」適用期限が延長されました。
アフターコロナにおける働き方改革で本社機能の地方移転を検討されている経営者は、大きな恩恵を受けられる地域拠点強化税制を申請してみてはいかがでしょうか?
企業の地方移転において従業員が求める9つの理想をご紹介しましたが参考になりましたか?
本社機能の地方移転は人件費や家賃など多くのコストを削減できるというメリットがありますが、経営者は従業員の地方移転に伴う地方移住に対してどのような意識を持っているかをしっかりと理解しなければなりません。
企業に属する会社員は、地方移住に対して「物価・家賃が安いこと」「自然に親しめること」「健康的な生活をおくれること」などを期待しており、多くの人は家族と幸せな生活を築ける環境で働けることを望んでいます。
将来的に地方移転を計画している経営者は、大切な従業員を失わないためにも移転先となる地方のリサーチを怠らないようにしましょう。
Thank You!!
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