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特集記事 2023.02.21
特集記事
2021.03.13
IT企業は、ネット環境が整っている地域であればどこでも仕事ができるという強みがあります。
時代の流れと共にITインフラ整備は全国各地で進み、快適な通信環境が整った市町村がIT企業を積極的に誘致する動きもみられています。
また、IT企業と手を組んで地域活性化や雇用創出を目指している地域もあり、アフターコロナでの本社機能の地方移転に新たな選択肢が増えてきました。
しかし、IT企業と市町村全体で協力して地域活性化を目指すビジョンはあっても、「企業の心を射止めるような具体的な施策が見つかっていない」「企業誘致の弊害となる地域課題の解決策が見つかっていない」地域も少なくありません。
そこでこの記事では、IT企業誘致に力を注ぐ熊本県にフォーカスし、企業誘致に向けた取り組みや地域課題解決事業などをご紹介していきます。
地方で新たな事業のスタートを目指す進出企業や、地方での事業拡大を目指す企業に対して、各地方自治体はさまざまな支援や補助金を用意しています。
まずは、IT企業誘致で企業と地域にそれぞれ生まれるメリットについてご紹介します。
大都市圏から自然が豊かな地方へ本社移転、またはサテライトオフィスを構えることで、企業側に生まれる大きなメリットは「税金面」にあります。
例えば、東京23区から本社機能を地方移転する場合、令和4年3月末まで「地方拠点強化税制」が受けられるようになっています。
地方拠点強化税制では、地方に本社機能を有する事務所などを建てる場合に、特別償却25%、もしくは税額控除7%を受けられるというメリットがあります。
また、地方の本社機能を拡充する場合にも、特別償却15%、もしくは税額控除4%を受けることができます。
地方拠点強化税制は地方で新たな事業を始める企業にとって大きな課題となる「雇用」に対する支援も用意されています。
本社機能を地方に移転した場合は、正規雇用1人に対して最大90万円(初年度)、地方にある本社機能の拡充に伴う正規雇用1人に対しては1人あたり最大30万円の税額控除を受けられるようになっています。
また、企業誘致によって大都市圏から地方に本社機能を移転した場合、家賃がかなり安くなり大幅なコスト削減も実現します。
都会での生活、地方での生活それぞれにメリット・デメリットがありますが、地方は物価が安く、都心で働くよりも生活にゆとりが生まれやすいというメリットは魅力的です。
都会の喧騒に嫌気がさしている人にとっては、おいしい水と空気がある自然の中で働けることは何よりの癒やしとなるでしょう。
単身ではなく家庭を築いている従業員にとっても、地方の充実した子育て支援を活用したり子育てに適した環境で育児をしたりできることは大きなプラスとなります。
都会にはないものが地方にはあり、企業の成長に貢献しながらスローライフを楽しめるのはとても貴重な体験となります。
IT企業誘致をする地方にとって大きなメリットとなるのが、雇用創出・税収アップに期待できるというものです。
近年における少子高齢化によって若者の雇用創出に問題を抱える地域は多く、人口流出に有効な歯止めをつくるために積極的に企業誘致をしている自治体も増えています。
企業誘致に成功すれば雇用創出の大きな助けとなり、生まれ育った故郷を一度離れてしまった若者のUターンにも繋がります。
地方にこれまでなかったIT企業が進出することで雇用が改善されるだけではなく、周辺事業の発達によって地域の活性化にも繋がります。大企業だった場合は大幅な税収アップも期待でき、さらなる企業誘致の施策の一手を打つことも可能となるでしょう。
本社機能の移転やサテライトオフィスの設置を計画している経営者は、地方創生の一環として企業誘致に注力する地方自治体の動きが気になるはずです。
2020年においては新型コロナウイルスの蔓延によって地方移転の計画を延期、または中に止した企業もありますが、現在はコロナの収束後を見据えた企業誘致の新たな動きが注目されてきています。
熊本県は進出企業に対して充実した支援体制が整っている地域であり、複数のIT企業の誘致に成功した事例もあります。
熊本県へ本社機能の移転や拡充を計画している場合、まずは県が設けている「本社機能移転計画」に認定される必要があります。
本社機能移転計画の認定に必要な条件や、本社機能移転計画の認定後に利用できるさまざまな支援をご紹介していきます。
進出企業が法人税などにおける優遇処置を熊本県で受ける場合、本社機能移転計画(地方活力向上地域特定業務施設整備計画)の申請をして、県知事による認定を事業の着工までに受けることが必須となります。
本社機能移転計画の認定申請 | |
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期間 | 令和6年(2024年)3月31日まで |
認定条件 | ・熊本県地域再生計画に適合する事業である |
雇用に対する認定条件が細かく設定されていますが、これらを満たすことで県からの手厚い補助を受けられるようになるため、移転後の経営計画を早い段階から練っておくことが重要となります。
出典元:熊本県の補助制度のご案内(企業立地ガイドKUMAMOTO)
「地方拠点化税制」は先にご説明した通り、東京23区から東京23区外の地方に本社機能を移転する場合や、地方の本社機能を拡充する場合に受けられる優遇税制です。
熊本県における「地方拠点化税制」は「本社機能移転計画」が認定されることで適用されます。
地方拠点化税制 | |
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期間 | 令和4年(2022年)3月31日まで |
認定要件 | ・東京23区から本社機能を地方へ移転する場合(移転型事業) ・東京23区以外から移転する、もしくは地方で拡充する場合(拡充型事業) ・本社機能移転計画に認定されている(熊本県の場合) |
補助内容(1) | ・本社機能を有する会社を地方で建てる場合、特別償却25%、もしくは税額控除7%が適用(移転型事業) ・地方の事務所や研究所などを拡充する場合、東京23区外から地方へ移転する場合、特別償却15%、もしくは税額控除4%が適用(拡充型事業) |
補助内容(2) | ・正規雇用1人に対して初年度に最大90万円(拡充型事業は最大30万円)の税額控除 |
「地方拠点化税制」は熊本県以外も対象となっている優遇税制であり、IT企業を誘致するために積極的にアピールする地域も少なくありません。
令和4年3月末までの期間となっているため、利用したい場合は早めの決断が必要となります。
出典元:令和2年度税制改正により、地方拠点強化税制はさらに使いやすくなります。(内閣府地方創生推進事務局)
「熊本県企業本社機能立地促進補助制度」は、熊本県に本社機能の一部、または研究所・研修所の移転を行う場合に受けられる制度となっています。
熊本県企業本社機能立地促進補助制度 | |
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期間 | 令和4年(2022年)3月31日まで |
補助要件 | 投資額が3,000万円以上であり新規雇用者数が50名以上 |
補助内容 | ・固定資産投資額とリース資産額の合計10% ・事業所年間貸借額の50%(4年間) ・専用通信回線年間使用料の50%(4年間) ・新規雇用者数1名につき50~70万円 |
期間は「地方拠点強化税制」と同じ令和4年3月31日までとなっているため、対象になる企業は併せて利用したいところです。
出典元:熊本県の補助制度のご案内・熊本県企業本社機能立地促進補助制度について(企業立地ガイドKUMAMOTO)
「本社機能移転計画」に認定された企業は、県税の減免処置も受けられるようになっています。
熊本県税の減免措置 | |
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期間 | 令和4年(2022年)3月31日まで |
補助要件 | ・本社機能移転計画に認定されている ・【事業税】本社機能移転計画に認定後、事業に使用する施設で2年以内の減価償却資産価額が3,800万円以上である(中小企業の場合は1,900万円以上) ・【不動産取得税】本社機能移転計画に認定後、事業に使用する施設で2年以内の減価償却資産価額が3,800万円以上(中小企業の場合は1,900万円以上)且つ、認定後、施設建設を1年以内に着手した土地である |
補助内容 (移転型事業) | ・【事業税】課税免除 ・【不動産取得税】課税免除 ・【固定資産税】課税免除(3箇年度) |
補助内容 (拡充型事業) | ・【不動産取得税】0.4%軽減 ・【固定資産税】初年度0.14%、2年目0.467%、3年目0.933%の軽減 |
出典元:熊本県の補助制度のご案内・熊本県税の減免措置について(企業立地ガイドKUMAMOTO)
企業誘致は地域活性化に繋がるだけではなく、企業の税金対策、従業員のライフスタイルの改善などさまざまなメリットが生まれます。
熊本県では、熊本県内の地方創生において実績を持つ「株式会社MARUKU」、芦北町と立地協定を結んだ「株式会社WEB TATE」「FunTech株式会社」といった3社のITベンチャー企業がプロジェクトHALO(ハロ)を発足し、県から支援業務を受諾してIT企業のノウハウを活かした「地域課題解決事業」や企業誘致などの活動に力を注いでいます。
地域課題解決事業はIT企業が地方自治体と協力し、それぞれの市町村が抱える問題をITの力で解決する支援が行われています。
対象の市町村 | 地域課題解決事業のテーマ |
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芦北町 | 防災インフラのデジタル化 |
高森町 | 漫画・コンテンツ産業集積による活気あるまちづくり |
津奈木町 | デジタルと小学校跡地活用による企業誘致と交流の促進 |
益城町 | 中心市街地のにぎわいづくりの推進 |
合志市・菊陽町・大津町など | セミコンテクノパーク周辺の交通渋滞対策 |
HALO(ハロ)は、県外の地域課題解決に繋がる技術やノウハウを持つパートナー企業の仲介役となり、熊本県内で事業展開を考えているパートナー企業に対してコワーキングスペースを紹介するなどのサポートを行っています。
例えば、芦北町では「防災インフラのデジタル化」をテーマとして、ICT(情報通信技術)を駆使した防災・避難情報を住民に確実且つ速やかに伝える方策が立てられています。
地方にこれまでなかったITの力が繁栄することで地域が活性化されるだけではなく、県外から注目を浴び、新たな人の流れが生まれるという側面もあります。誘致されるIT企業にとっても、同じ志を持つIT企業によるサポートがあるのはとても心強いといえるでしょう。
熊本県は、「県内にはない企業ネットワーク、情報発信力を活かした地域課題の解決へ導くと共に、企業が企業を呼ぶスキームを構築する」ことを目指し、IT企業に対する企業誘致もこれからさらに活発になってくるとみられます。
IT企業誘致によって生まれるメリット、IT企業誘致に力を注ぐ熊本県のさまざまな取り組み、そして注目される地域課題解決事業についてご紹介しました。
東京などの大都市圏に本社を構える企業にとって、地方への本社機能の移転は税金対策になるだけではなく、地域住民や地元企業と手を取り合い、新たな事業をスタートさせる良いきっかけとなります。
企業を誘致する市町村にとっても、進出企業による新たな事業や雇用創出によって地域が活性化され、尚且大きな税収アップが望めるため、企業と市町村でWin-Winの関係を築くことができます。
熊本県はIT企業の誘致がに力を入れている地域であり、3社のITベンチャー企業によるプロジェクトHALO(ハロ)によって、今後さらに都会のIT企業が地方移転しやすい環境が整ってくると予想されます。
IT企業の地方移転ではITインフラ整っていることが大前提となりますが、熊本県ではITに精通した企業による手厚いサポート、そして自治体による充実の支援を受けられます。
2021年は新型コロナワクチンの接種も開始され、経済状況が回復に向かう兆しのある企業も多くあります。
この機会に、IT企業の誘致に力を注ぐ熊本県への移転を考えてみてはいかがでしょうか?
Thank You!!
ご応募いただき
ありがとうございます!
内容を確認の上、
担当者からご連絡させていただきます。