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特集記事 2023.02.21
特集記事
2021.03.10
地方創生にはさまざまな形がありますが、ひとつの手段として地方都市が地域の活性化を目的とした企業誘致をするという方策があります。
新型コロナウイルスが流行してからは環境の変化と経済的な理由でオフィスを移転する企業が増えていますが、都市圏の企業を受け入れるべく、各地方の企業誘致の動きは以前よりも活発になってきました。
地方創生の一環として企業誘致を目標に掲げる市町村、そしてコロナ収束後の経営安定化を図るために地方移転を計画している企業のマッチングは、たくさんの相乗効果に期待できます。
この記事では、地方移転を計画している会社経営者に知っていただきたい「企業誘致で生まれる効果」と「税金対策・雇用創出に繋がる理由」などをご紹介していきます。
企業誘致は、特定の地域が地場産業振興を目的として地域外の企業を呼び込むことを指します。
かつては、企業のサテライトオフィス・支社・工業・研究所などを新たに地元に設置もらう企業誘致が一般的でしたが、昨今における企業誘致は多様化しており、本社機能の移転や外国企業の誘致に積極的に取り組む自治体が増えています。
2018年の税制改正では、小規模のオフィスにおける移転・拡充の支援条件が緩和されたことで支援対象になる地域が増え、民間企業は以前より地方へ本社移転をしやすくなりました。
2020年には、全世界で新型コロナウイルスが大流行したことで国民のライフスタイルや企業の働き方に大きな変化がもたらされ、自然が豊かな地方で暮らして働くという選択を取る人が増加しました。
企業においてはコロナ対策でリモートワークを導入したり、オフィスの規模の縮小や移転をしたりするケースが増えましたが、企業誘致によって地方に新たなオフィスを構えるという事例も併せて増えてきています。
地方自治体が地方創生や企業誘致に力を入れている理由は、主に「都心への一極集中」が挙げられます。
地方から東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県などに転入する人は多く、東京圏への転入者はこの数年で特に伸びているのが現状です。 これによって地方の人口が減少し、雇用と出生率の減少という大きな問題を抱えてしまっている市町村も少なくありません。
政府は、日本全体の不平等を正すことを目標としており、都心への一極集中の歯止めをつくるべく「まち・ひと・しごと創生総合戦略」という施策を打ち出しています。
「まち・ひと・しごと創生総合戦略」は、将来にわたって活力のある地域社会を実現させるため、以下のような基本目標を掲げています。
地方創生は「人口減少を和らげ、東京圏への一極集中を避ける」という大きな目標へ向けて、各地方でさまざまな取り組みが行われています。
本社機能の地方移転を計画している経営者にはたくさんの選択肢があり、各地方自治体が設けている支援や補助金に注目して、自社に見合った移転先を選ぶことが重要になってきます。
出典元:第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略|2020改訂版」(内閣府地方創生推進事務局)
企業が活動拠点を変えるということは、今後の経営を左右する大きなターニングポイントとなります。
企業誘致を活用して地方に本社機能を移転、またはサテライトオフィスや支社を構えた場合、企業とその地域には一体どのような効果が生まれるのかを具体的にご説明していきます。
2020年における日本経済はまさに激動であり、新型コロナウイルスの影響によって国内だけではなく世界的に未曽有の落ち込みをみせました。
政府は経営に苦しむ企業や国民の生活を救うべく、巨額の財政出動に乗り出して金融緩和という対策をとりました。その結果、企業は経営回復に投じるための資金を確保する動きをみせ、政府と企業の両方が多大な債務を背負う形となりました。
2021年以降は私たち国民を恐怖に陥れた新型コロナウイルスが脅威ではなくなる、新たな「ポストコロナ時代」で生き抜けるビジネスの形を築いていかなければなりません。
地方自治体も日本経済が停滞する中では国から思うような援助を受けられないという現状があり、今まさに、地域経済を豊かにしてくれる企業の力を必要としています。
企業誘致は地域に進出企業から大量の税収が見込めるだけでなく、その地域に今までなかった事業がスタートすることで新たな産業が生み出される可能性があり、地方財政が一気に潤うチャンスとなります。
企業誘致で得するのは誘致した地域だけなのかといったらそうではありません。 企業、地方ともに相乗効果がもたらされ、企業においては特に税金面に大きなメリットが生まれます。
税金対策は会社経営者なら一度は悩まされる大きな課題です。
毎年税金対策に悩まされている企業にとって朗報となったのが「地方拠点強化税制」の存在です。
「地方拠点強化税制」を簡単に説明すると、本社機能を地方に移転、または地方で拡充する場合に受けられる優遇税制です。設備投資や雇用獲得に応じて税金面が優遇され、経済面にポジティブな効果がもたされます。
地方拠点強化税制は以下の条件を満たす企業が対象となり、各都道府県で設けられている整備計画に当てはまる場合に適用されます。
地方拠点強化税制は、上記のように「移転型事業」と「拡充型事業」に分類され、それぞれ優遇される税率が異なります。
※本社機能は特定業務施設を指し、事務所・研究所・研修所が対象となり工場や店舗は対象外となります。
※地方拠点強化税制を受ける方法は自治体によって異なるため、必ず事前に確認をしておきましょう。
出典元:地方拠点強化税制について(内閣府地方創生推進事務局)
地方拠点強化税制の優遇税制は「設備投資減税(オフィス減税)」と「雇用促進税制」の2種類あり、併用が可能となっています。
移転型事業における設備投資減税は、建物などの取得価額に対して「特別償却25%」か「税額控除7%」を受けられるというものです。
例えば、熊本県八代市で取得価額5,000万円のオフィスを新設した場合、1,250万円分の特別償却か、350万円分の税額控除が優遇されます。
移転型事業における雇用促進税制は、地方移転した本社機能で雇用増加1名(正規雇用)に対して最大90万円の税額控除を受けられます。このうち40万円分の上乗せは最大3年間継続するため、雇用が長いほど優遇されます。
拡充型事業における設備投資減税は、建物などの取得価額に対して「特別償却15%」か「税額控除4%」を受けられるというものです。
例えば、熊本県人吉市で取得価額4,500万円のオフィスを新設した場合、675万円分の特別償却か、180万円分の税額控除が優遇されます。 拡充型事業も雇用促進税制の対象となります。
移転型事業における雇用促進税制は、地方の本社機能で雇用増加1名(正規雇用)に対して最大30万円の税額控除を受けられます。
勤務年数に応じた上乗せはありませんが、10人雇用すれば300万円という大きな税額控除が得られます。
地方に進出する企業は事業を継続、拡大させるために雇用創出が必要となってきます。
先述の雇用促進税制を上手に活用すれば税金対策も可能となり、移転後の数年にわたる資金繰りもスムーズになります。 そして、少子高齢化に悩む地域にとって地元で働く人が増えることは何よりも嬉しいことでしょう。
魅力的な事業を行う企業が地元に誕生すれば、若者は都会へ就職せずに地元に留まり、将来的な出生率増加にも繋がります。 一度地元を離れてしまった若者が地元に進出した企業に就職をするUターンや、都市圏の若者が地方に進出した企業に就職するIターンにも期待できます。
雇用創出に悩む市町村は企業誘致が成功することで絶大な経済的効果が得られることでしょう。
本社機能を地方に移転する場合、既存の建造物の再利用などでなければ大規模な工事が必要となってきます。
その工事に携わる地元の建設業者や製造業者に対して売上げアップなどの効果がもたらされる他、進出してきた企業の事象内容によっては、地元の原材料業者や運送業者との業務提携が実現し、新たな需要が生まれます。
周辺事業が強化・活性化されることで地域の経済も潤い、進出企業は自社だけでは成し遂げられないような新たな事業を計画することも可能となるでしょう。
地方に本社機能を移転することで、都市圏に今後起こり得るさまざまなリスクの回避に繋がります。
IT企業、製造業などが特に気をつけなければならないのが、大規模な自然災害による業務・製造・営業の停止です。
地震調査研究推進本部(文部科学省)は、マグニチュード8〜9クラスが想定される南海トラフ地震が、令和元年から30年以内に70〜80%の確率で発生することを予想しています。
また、マグニチュード7クラスの首都直下地震も、令和元年から30年以内に70%程度の確率で発生する可能性があるとして、BCPの策定意向を高めるよう促しています。
出典元:企業等の東京一極集中の現状・大規模地震の切迫性(国土交通省)
BCPは「事業継続計画」と呼ばれる国が推進する施策です。
企業が大地震、台風、集中豪雨、大火災、感染症や伝染病のパンデミックなどの緊急事態に直面した場合に事業資産の損害を最小限に抑え、中核となる事業の継続・早期復旧を可能にするための平常時の活動、緊急時に事業継続ができる方法・対策を事前に取り決めておく計画を指します。
最近では、新型コロナウイルスのパンデミックによって事業に大きな支障が出た企業も少なくありません。特に大都市圏では感染者数が爆発的に増加したこともあり、従業員の感染対策に追われ、業務形態を変えることを余儀なくされた企業もあります。
また、2001年に起きたニューヨーク同時多発テロのような国家間の紛争や、サイバー攻撃による大規模な情報漏洩なども地方より都市圏の方が巻き込まれるリスクが高いといわれています。
いつ起こるか分からない想定外の事態に備えてBCP対策を行うことは「企業と従業員の未来を守ること」に繋がり、BCP対策を兼ねて本社機能の一部、または全てを地方に移転することは効果的だといえます。
地方移住をした従業員は、朝の満員電車に揺られることもなくストレスフリーの通勤が可能となります。
また、山、森、川などの大自然に囲まれたのどかな土地で都会では味わうことができないスローライフを満喫することができるでしょう。
都市部と比較すると地代がかなり安くなるため、庭付きマイホームを建てることも夢ではなくなります。
企業誘致に積極的な地域では子育て支援や補助金が充実しており、仕事と子育ての両方のバックアップを得た状態でゆとりある生活をおくることができます。
企業誘致による本社機能の移転・移住は、おいしい空気と水があり、そして大自然に恵まれた土地で過ごす第二の人生へ向けて一歩を踏み出す良いきっかけとなるでしょう。
地方移転を計画している企業の経営者に知っていただきたい「企業誘致で生まれる効果」と「税金対策・雇用創出に繋がる理由」をご紹介しましたが参考になりましたか?
アフターコロナでは地方創生が多様化し、進出企業のスタートアップをサポートする優遇税制や補助制度がより注目されるようになりました。
地方移転をする企業には税金対策、コスト削減といった経済面に対してポジティブな効果が生まれ、企業誘致をする地域に対しても地域活性化、雇用創出、周辺事業の強化に期待ができます。
コロナ収束後の新たなビジネスを成功させるため、企業と地方に相乗効果が生まれる本社機能の移転をこの機会に考えてみてはいかがでしょうか?
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